前田の左腕がU18日本を初の世界一に導いた 大阪大会決勝の悔し涙が笑顔に変わった夜

2023年09月11日 05:00

野球

前田の左腕がU18日本を初の世界一に導いた 大阪大会決勝の悔し涙が笑顔に変わった夜
<日本・台湾>優勝を決めてマウンドに集まる日本ナイン(撮影・河合 洋介) Photo By スポニチ
 【U18W杯・決勝   日本2―1台湾 ( 2023年9月10日    天母 )】 高校日本代表が決勝で台湾を2―1で破り、初優勝した。前田悠伍投手(3年=大阪桐蔭)が7回1失点の力投で完投し、4回には丸田湊斗外野手(3年=慶応)がバント安打を決めるなど3連続バント攻撃で逆転した。甲子園出場者を含む「日本代表」が初参加した04年以降では4度目の決勝で、ついに若き侍が世界一に輝いた。
 前田が世界一のエースになった。「全部抑える。自分が世界一に導くんだと思っていた」。7回92球の力投。1試合105球までの大会規定の制限下で最後までマウンドを守り抜いた。今大会のチームで最長イニングでの完投。歓喜のウオーターシャワーに濡れた。

 8戦4発の強打を武器に決勝まで全勝で勝ち上がった台湾は強敵だった。得点圏に3度走者を背負い、初回の1失点だけで我慢。「甲子園のアウェーの雰囲気も経験しているので焦らなかった」。今大会は先発3試合で計16回2/3を1失点。巧みな投球術は世界にも通用した。

 小学生の頃から大阪桐蔭で野球をすることが夢だった。中学生で入団した湖北ボーイズでは「日本一になりたいので、僕を大阪桐蔭に入れてください」と加納得太郎会長に頼み込んだ。日本一を目指す中、もう一つかなえたい目標があった。U15とU18の日本代表に選ばれることだった。

 小学生の頃から家族に打ち明けていた夢だ。中3時のU15W杯はコロナ下で中止。今大会の出場は悲願だった。今夏は大阪大会決勝で敗退し、「落選するかも」と周囲に吐露したこともあった。

 代表入りを信じて投球フォームを改良し、無走者でもセットポジションに変更した。苦い思い出を振り払った。セットポジションで投げた小4時の試合で、10個以上の四死球を与えた。この大乱調を境に無走者時のセットはやめた。それから8年、国際大会で認められている2段モーションを導入する過程で、セットに戻した。日本代表に憧れた少年時代に似た投球フォームで胴上げ投手となった。

 「大阪桐蔭で悔しい思いをしたけど、世界一を獲れて最高の夏になりました」。大阪大会決勝の悔し涙から1カ月強。高校野球の集大成を笑顔で終えた。

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