イチロー氏 「誰からも嫌われたくない」現代、「それでは切磋琢磨していかない」 旭川東で高校生指導

2023年11月06日 17:30

野球

イチロー氏 「誰からも嫌われたくない」現代、「それでは切磋琢磨していかない」 旭川東で高校生指導
野球部員を指導するイチローさん=2023年11月5日、北海道旭川市の旭川東高校(代表撮影) Photo By 代表撮影
 マリナーズで会長付特別補佐兼インストラクターを務めるイチロー氏(50)が4、5日の2日間にわたり、旭川東(北海道)で選手指導を行った。
 イチロー氏が高校生を指導するのは、20年の智弁和歌山、21年の国学院久我山、千葉明徳、高松商、22年の都新宿、富士高に続き7校目。

 古巣・オリックスと阪神が対戦した日本シリーズに配慮したいという意向により、6日に指導したことが公表された。

 同校は、過去10度も北北海道大会の決勝に進みながら甲子園には届かず、昨夏53年ぶり11度目の決勝進出を果たすも再び敗退。2021年の大みそかに旭川東高の関係者から「悲願を叶えたい」との指導を依頼を受け、「悲願を叶え未来の礎となるきっかけを残せたら」と訪問を決めたという。

 質疑応答でチームの雰囲気どうかと聞かれ、「仲良しすぎるかな。ぶん殴ってるくらいじゃないけど、最後の目標は同じだから、あれはあれで健全なこと。みんなすごく仲良し。いいことだけど、厳しいことも言える雰囲気の方が強くなっていく」と時には言い合える間柄も大事と説いた。

 「現代では難しいけどね。時間も限られているからさ。今の時代のあり方は、誰からも嫌われたくないというのが多い。それではなかなかチームは切磋琢磨していかない。我慢して、もちろん認めることも大事だけど、戦わせるのも大事。バランス良く共存していけるのがいい」と語った。

 2日間指導を受けた臼井颯汰主将は「まず、このイチローさんが来るという機会を思い出にしないということ。自分たちは絶対にこれは思い出じゃなくて甲子園に行くためにこの2日間は充実したものにしようってまず最初に言っていた」と、事前に来訪知らされてからは何を質問するかをまとめるなど入念に準備していたという。

 チームの印象についての回答に「これ大事なのかなと思っていて、やっぱり大事だったんだと。仲間への厳しさっていうのがチーム力を高めるためには必要不可欠なことだというのがイチローさんの口から聞けたので、それは本当にこれからそういう方針でいこうかと思います」と気持ちを新たにした。

 現役時代をリアルタイムではほぼ見ていない。「2009年のWBC韓国戦とかですかね…1年生の早生まれが2008年なので。でも、それは自分も生で見たというよりはハイライトみたいな感じで。それくらいで出てくるすごい人なので」というスーパースター。

 来訪に「ありえないですね。本当に。昨日会って、イチローさんに会って、会っているのに、え、こんなことあっていいの、みたいな」と夢見心地。だが、一方で「昨日ふわふわするのはしょうがないと。もうスターが来ているからそれはしょうがないけど、今日2日目でもう今日しかないから、今日は浮かれた気持ちを抑えて、来てもらったのは甲子園に行くためだというのをもう一回確認して今日は臨みました」と、目標を再確認した様子だった。

 旭川東は北海道旭川市にある公立(道立)の高校。1903年開校の北海道庁立上川中学校を起源とする伝統校で、通称は「旭東」「東高」。旧制旭川中学校時代はビクトル・スタルヒン氏の母校として知られる。スタルヒン氏はエースとして北海道大会で33、34年と準優勝して3年で中退。巨人の前身・大日本東京野球倶楽部に入団、初の300勝投手となった。

 学生野球の指導には、原則としてプロ球団を退団する必要がある。だが、イチロー氏の野球界への功績の大きさや、アマ選手の獲得に携わる立場でないことを踏まえ、日本学生野球協会が特例を容認。イチロー氏は2019年12月に学生野球資格回復制度の研修会を受講し、20年2月に資格を回復。マリナーズでの活動がないオフシーズンに限り、高校生や大学生への指導が可能となり、以来各地の高校で指導している。

おすすめテーマ

2023年11月06日のニュース

特集

野球のランキング

【楽天】オススメアイテム