イチロー氏 高校生に語った道具手入れの目的と大切さ 「いい状態保つのはうまくなる絶対条件」

2023年11月06日 16:28

野球

イチロー氏 高校生に語った道具手入れの目的と大切さ 「いい状態保つのはうまくなる絶対条件」
野球部員に走塁を指導するイチローさん=2023年11月5日、北海道旭川市の旭川東高校(代表撮影) Photo By 代表撮影
 マリナーズで会長付特別補佐兼インストラクターを務めるイチロー氏(50)が4、5日の2日間にわたり、旭川東(北海道)で選手指導を行った。
 イチロー氏が高校生を指導するのは、20年の智弁和歌山、21年の国学院久我山、千葉明徳、高松商、22年の都新宿、富士高に続き7校目。

 古巣・オリックスと阪神が対戦した日本シリーズに配慮したいという意向により、6日に指導したことが公表された。

 同校は、過去10度も北北海道大会の決勝に進みながら甲子園には届かず、昨夏53年ぶり11度目の決勝進出を果たすも再び敗退。2021年の大みそかに旭川東高の関係者から「悲願を叶えたい」との指導を依頼を受けたといい、「悲願を叶え未来の礎となるきっかけを残せたら」と訪問を決めたという。

 イチロー氏も一緒に練習に臨み、ウォーミングアップでは、体が硬いことに悩む選手に「僕もめっちゃ硬かった。柔軟も全然。チームで一番硬いグループの一人だった。このままじゃ将来駄目だなと思った。完全に改善したわけではないが。みんなは今からなら余計なトレーニングをしなければ大丈夫」とアドバイス。ミニハードルを使ったアップを見て走り方も指導した。

 また、アップ後、キャッチボールへ移る前に、選手のグラブを見て手入れについても談義。自身のグラブを見せ「2022年の夏からだから、1年半毎日使っている。365日じゃないけどね。このクオリティはメジャーの誰にもいない。最高のグラブ。まずは新品の状態でオイルを浸透させる。ひもまで。(オイルを)塗らないで使うのは勧めない。慣れる(なじむ)まで塗りまくる。練習前、練習の途中、練習の後と。1年半やるとこうなる」と手入れの仕方を伝授。

 重くないと驚く選手に、「そう。不思議でしょ。毎日出てくの。これ何て言うの?頭いいでしょ?(揮発性?)さすが。でも、途中からやってもこうはならない。新しい段階でやらないと。グラブをいい状態に保つのはうまくなる絶対条件。(手入れしていると)ミスを思い出すから。1日の終わりに反省をする」と道具をメンテナンスすることの大切さを語った。

 キャッチボールの後にも手入れの話題になり、「グラブがめっちゃかわいくなる。愛情が全然違う。プレーも丁寧になる。手入れしないでエラーしたら後悔するでしょ。ああしとけば良かった、というのを取り除いて。それが準備の大きな目的」と述べ、「ポケットは確保してほしい。僕は筒を入れておく。ボールより大きいもの(シェイカーのようなものをグラブに挟む)」と具体的な方法も明かした。

 旭川東は北海道旭川市にある公立(道立)の高校。1903年開校の北海道庁立上川中学校を起源とする伝統校で、通称は「旭東」「東高」。旧制旭川中学校時代はビクトル・スタルヒン氏の母校として知られる。スタルヒン氏はエースとして北海道大会で33、34年と準優勝して3年で中退。巨人の前身・大日本東京野球倶楽部に入団、初の300勝投手となった。

 主な卒業生は、プロ野球選手では干場一夫(大阪タイガース)、本間哲郎(大洋ホエールズ)、スポーツ選手には陸上・やり投げの北口榛花ら。

 学生野球の指導には、原則としてプロ球団を退団する必要がある。だが、イチロー氏の野球界への功績の大きさや、アマ選手の獲得に携わる立場でないことを踏まえ、日本学生野球協会が特例を容認。イチロー氏は2019年12月に学生野球資格回復制度の研修会を受講し、20年2月に資格を回復。マリナーズでの活動がないオフシーズンに限り、高校生や大学生への指導が可能となり、以来各地の高校で指導している。

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