DeNA「部長進化論」連載<3> 選手のハイパフォーマンスに尽力する桑原氏の進化論

2024年02月14日 12:00

野球

DeNA「部長進化論」連載<3> 選手のハイパフォーマンスに尽力する桑原氏の進化論
宜野湾キャンプでの桑原氏(右)。左は木村球団社長(撮影・島崎 忠彦) Photo By スポニチ
 DeNAのチームスローガン「横浜進化」にちなみ、球団部長の日々の奔走を紹介するDeNA「部長進化論」。キャンプのオフに紹介する5回連載第3回は、プレーヤーの「ベスト」を引き出すため日々尽力する「元プロ」の桑原義行ハイパフォーマンス部部長(41)を紹介します。(構成、DeNA担当・大木 穂高)
 11年に横浜(現DeNA)での7年間の現役生活を終えた桑原氏は、その後、球団内で職員としてのノウハウを積み上げ、昨年11月にハイパフォーマンス(以下HP)部部長に就任した。

 同氏はHP部の基本姿勢を「野球選手の体づくりと、アスリートの体づくりを両立させて考え、その先にスーパー野球選手をつくること」と説明する。そして、若手選手を中心に「まずはアスリートとしての体づくりを徹底する」と続けた。

 球団は、日本のストレングス(強化)トレーナーのトップを走る「パフォーマンスアーキテクト」里大輔氏を招へいしている。そして同氏が提唱する「勝ちライン、勝ちポジション」を選手に学ばせている。

 それは、競技を問わず有能な選手に共通する正しい走り方の動き、姿勢(体幹)のことで、無駄な動きが多い選手には代償動作が生じ、無駄な筋肉がつく「負けライン、負けポジション」がしみつく。

 HP部は選手が「勝ち」に結びつく動作を身につけて、そして野球選手としての体を築き上げることができるような取り組みを、現場コーチと共同で行っている。「トレーニングの世界は、新しいトレンドが次々にくる。その流れに目を光らせながら、部内の研修も重ねて共通の認識を強めることも私の仕事です」と続けた。

 チーム最年長35歳の大和から、最年少の高卒1年目の選手まで、すべての選手にプログラムを持ち備えているが、もちろんキャリア的に今年が勝負の年と踏んでいる選手に、育成プランを立てることはできない。「そういう選手には、今年1年ケガをさせないための計画を練る」という。その中で、桑原部長は最良のプログラムを練り上げるための指示を出す役目も担う。

 成功と失敗を重ねながら前進する日々だが、HP部の地道な取り組みが機能してきたことで、未来に期待を抱かせる選手もでてきた。高卒3年目の深沢と、同2年目の森下の両腕。ともに1軍出場はないが、2軍で順調に成長を遂げた。桑原氏は「本人たちの努力もあるが、ハイパフォーマンス部と動作解析チームが連携して進めてきたプランが成功した賜物」と目を細める。

 深沢は今沖縄・宜野湾キャンプでも存在感を示しているが、同学年の最速152キロ右腕・小園についても、HP部内で今季の飛躍に向け「育成計画」は練られてきた。

 桑原氏は小園について、「絶対に今年、チームの核として育てないといけない」と意気込んだ。

 「(元プロの)僕がトレーナーのカテゴリーのトップに就いているのは、12球団でも異色だと思う」と桑原氏。

 だが引退後から同部長に就任するまでの12年間、人材開発、育成をはじめ、多岐のジャンルで「社会」を学び、見聞を広めてきた。そのことが現職での仕事に役立っている。

 HP部の活動にゴールはない。それでも同氏は手応えもつかんでいる。「タレントもスキルも高くなってきている。いつかは日本のトップトレーナーがそろっている組織にしたい」と夢を広げていた。

 ◆桑原 義行(くわはら・よしゆき) 1982年(昭57)6月15日東京都北区出身の41歳。日大豊山から日大に進学し、04年ドラフト8巡目で横浜(現DeNA)に入団。11年に引退した。外野手で1軍通算35試合に出場。引退後は、球団内で野球振興、2軍マネジャー、人材開発などに携わり、育成部長を経て、23年11月にハイパフォーマンス部部長に就任した。

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