同期のクールな男・高山からの熱いエールを胸に昨年の日本シリーズで力投を見せた青柳

2024年04月20日 05:15

野球

同期のクールな男・高山からの熱いエールを胸に昨年の日本シリーズで力投を見せた青柳
16年1月、阪神の新人合同自主トレに臨んだ青柳(左)と高山
 【セ・リーグ   阪神7-0中日 ( 2024年4月19日    甲子園 )】 【記者フリートーク】日本シリーズが始まろうかという昨秋、阪神・青柳のスマートフォンが鳴った。
 「一回、甲子園のスタンドから阪神の試合を見たいんだよね」
 昨オフ、阪神を戦力外となった高山(現オイシックス新潟)からだった。2人は15年ドラフトの同期。大学屈指の強打者で1位指名の高山はアマチュア時代から5位・青柳のずっと前を走ってきた。

 「ドラ1で入って先に1軍で活躍して新人王獲って。1年目に自分も投げましたけど“出させてもらった”という感じ。早く同じ舞台にいけるように頑張ろう…。高山に対してはそういう気持ちでしたね」。青柳の負けん気を刺激してくれるような存在だった。

 「かなわなかったですけど、2人で一緒にヒーローになれたらいいね、って話していたんですよ」。青柳が力をつけ1軍の戦力となった数年前、互いにそんな約束も交わしていた。

 甲子園で野球を見たい――。高山からのめったにない“お願い”に先発の可能性があった日本シリーズ第5戦のチケットを用意。結局、青柳の登板は天下分け目の第7戦になり「(5戦目)投げなくなったわ。7戦目かも」と伝えると、登板前日に高山から1通のLINEが届いた。「一年の最初と最後に投げられるのは凄いうらやましいこと。いろんな人の期待があると思うけど自分のために自分の投球をしてほしい。めっちゃ応援してるから!」

 普段はクールな男の熱いエールは胸に響いた。「7戦目までもつれることになった瞬間にいろんな人に頑張ってと言われましたけど高山の言葉が一番(頭に)入ってきたので」。大一番で日本一につながる力投を見せた右腕の背中を押したのは尊い同期だった。

 昨年12月、オイシックス新潟入団が決まった高山から打診されたトークイベントのVTR出演を青柳は“拒否”。「家から近いんで会場行きますよ」とサプライズ登場で恩返ししている。「まだまだ腐るようなバッターじゃない。阪神がもう一回獲ることはないと思うので、次はNPBで対戦したいですね」

 普段から頻繁に連絡は取らない。今年唯一のやりとりは2月のキャンプ中、青柳のSNSに高山から「練習しろよ」とメッセージが届いたくらいだ。いつかグラウンドで対峙(たいじ)を――。今も背番号17の中で高山俊という男の存在の大きさは変わらない。 (阪神担当・遠藤 礼)

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