【スポニチスカウト部(28)】弘前学院聖愛・吹田志道投手 プロで「負けないエース」になる

2024年09月10日 06:00

野球

【スポニチスカウト部(28)】弘前学院聖愛・吹田志道投手 プロで「負けないエース」になる
弘前学院聖愛・吹田志道 Photo By スポニチ
 今秋のドラフト候補となる選手にスポットを当てる「スポニチスカウト部」。アマチュア担当記者の独自目線による能力分析とともに、選手の素顔を紹介する。第28回は弘前学院聖愛(青森)の吹田志道(しどう)投手(3年)。甲子園には届かなかったが、好投手ひしめく青森で注目を集めた最速142キロ右腕の最後の夏を追った。
 甲子園までわずかに1点届かなかった最後の夏を終えると、吹田はベンチの隅で一人、泣き崩れた。身長1メートル88の長身からスリークオーター気味に投げ下ろす直球が武器。青森大会決勝までチームを導いたが、甲子園4強入りした青森山田に逆転負けを喫した。憧れた聖地のマウンド。「甲子園は近いようで遠かったです」と絞り出した。

 不屈の闘志ではい上がり、プロ注目選手にまで上り詰めた。2年春からエースとして活躍してきたが、冬に腰を痛めた。3年の春先まで思うような投球練習はできなかったが「これまで避けてきたことに努力できると思った」と前向きに捉えた。体を大きくしようと苦手な食事の回数も増やし、一時は体重90キロまで増加。夏の大会中に減ったが「夏で7キロ減ったが、頑張れば大きくなれると分かったので今後も続けたい」と振り返った。

 絶対的エースとしての心構えも学んだ。投げ方を参考にしようと、プロ選手の動画を見続けていた際に目に留まったのが、現ソフトバンク4軍監督の斉藤和巳氏だ。右肩の故障で引退することとなったが、何年もの間、壮絶なリハビリを続けて現役復帰を目指していた姿を知り「斉藤さんからは不屈の闘志のようなものを学んだ。自分も負けないエースと呼ばれるようになりたい」。復帰後は今春の青森県大会優勝、さらに東北大会でも準優勝までけん引した。

 最後の夏は2点リードの6回に逆転満塁本塁打を被弾して敗れた。この一球でマウンドを降り「一球の怖さがよく分かった。これからは日頃からその一球につながると思って生活も送りたい」と言葉をつないだ。だが、持っている全ては出し切った。「プロ志望届は提出したいです」。夢舞台での活躍を思い描きながら、運命の日を待つ。 (村井 樹)

《“志道”の名の通り、迷うことなく突き進みたい》 長身からスリークオーター気味に投げ込み、身長も腕の角度も巨人・戸郷にそっくりの吹田。偶然の産物からこの投球スタイルにたどり着いた。本来は真上から投げ下ろしていたが、夏前の練習試合で疲れから徐々に腕が下がった。修正を施そうとしたが「この腕の使い方の方がコースを突けることに気付いた」と勝負の夏前に迷うことなくフォーム変更。見事に自分のものにしてみせた。誰から強制されたわけでもなく、体重アップのためには泣きながらも食事を続けるなど、野球のためには努力を惜しまない吹田。「“志道”の名の通り、自分が決めた道は迷うことなく突き進みたい」。この決意が報われる日も遠くないはずだ。 (アマチュア野球担当・村井 樹)

《今年の青森は“投手王国”》 今年の青森はプロ注目の高校生投手が多数、存在する。1年夏から甲子園のマウンドを経験した八戸学院光星・洗平比呂(あらいだい・ひろ=3年)を筆頭に、チームメートだった岡本琉奨(るい=3年)も力強い直球が魅力。U18日本代表候補に選出された八戸工大一の左腕・金渕光希(3年)もポテンシャルは高い。大学進学が濃厚だが青森山田の最速152キロ右腕・関浩一郎(3年)も逸材だ。

 ☆球歴 大鰐小3年から野球を始めた。弘前学院聖愛中から弘前学院聖愛高へ進み、2年春からベンチ入り。憧れの選手はソフトバンク・斉藤和巳4軍監督。

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