日本ハム・栗山CBO 「時」に逆らわず今日だけは全力で 親鸞聖人の言葉に気付かされたこと

2024年09月10日 06:00

野球

日本ハム・栗山CBO 「時」に逆らわず今日だけは全力で 親鸞聖人の言葉に気付かされたこと
栗山英樹氏がしたためた色紙 Photo By スポニチ
 侍ジャパン前監督で日本ハム・栗山英樹チーフ・ベースボール・オフィサー(CBO=63)による連載「自然からのたより」は、改めて考えさせられる自然の教えについて。自宅のある北海道の栗の樹ファームでは、グラウンドの芝刈りに頭を悩ます。いかに自然が教えてくれるタイミングで芝を刈るか。そして自然の「時」がどれほど大切か。偉大な先人の言葉がそれを気付かせてくれる。
 北海道でこんな暑さになるのかと思う夏も峠を越えたが、まだ蒸し暑さが残る。栗の樹ファームにある天然芝のグラウンドは、この時季も芝刈りが欠かせない。斜面も含めて全面を刈り込むのに約2時間。だいたい4、5日に1回、長くても1週間に1回は刈らないと芝は整わない。

 刈り込むタイミングは難しく、長く伸びると芝が寝てしまい、同じ長さに刈れない。逆に短いと枯れやすくなってしまう。天気予報を見ながら、いつ刈るか頭を悩ます。雨が降ると、濡れた芝を機械が巻き上げられなくなる。突然の豪雨で機械を入れられなくなったり、朝やろうとしたら芝が朝露に濡れているときもある。そんなときに、ハッと気付かされることがある。

 これは親鸞聖人の言葉だ。9歳で得度した際、夜遅い時間に訪れたお寺から「夜も遅いので明日にしてはどうか」と言われ、こう詠んだという。「桜を見るのは明日でいいと思う心があだとなり、見られなくなるかもしれない。夜半に嵐が吹かないとはいえません」という意味。「まあ今日はいいや」という思いは誰もが感じることだが、物事がうまく運ぶのはその場で処理するときだ。「明日はいいから、今日だけは全力で生きよう」。監督として、ずっと選手にもそう言ってきた。

 大切なのは自然が教えてくれる「時」なのだと思う。朝しか時間がないからと芝刈りをして、朝露に濡れた芝で芝刈り機が故障したこともある。それは自然の時ではなく、自分の勝手な都合でやるから失敗する。野球もそうだ。試合の流れの中で野球の摂理に沿わないといけないのに、自分が勝ちたくて動くと失敗してしまう。

 自然は常に何かを教えてくれる。近年の豪雨や猛暑などの異常気象も自然からのサインなのだろう。それを見過ごすか、ちゃんと読み解くか。次世代へ地球を渡すため、誰もが見過ごさないようにしないといけない。

 ▽親鸞聖人(しんらんしょうにん) 戦乱や災害が相次いだ平安時代から鎌倉時代にかけての仏教家で、浄土真宗の開祖として知られる。京都に生まれ、9歳のときに出家。20年間、比叡山で修行、学問に励んだ後に法然上人の弟子となり、師の教えを継承。35歳のときに他宗の反感から越後へ流罪となり、5年後に流罪を許されて関東へ移った。独自の寺院を持つことはなかったとされ、人々とともに暮らして教えを伝えた。

 ▽芝生の手入れ 美しく保つには、一年を通じ季節に合わせてメンテナンスすることが重要。日本で最も一般的な高麗芝は11月から冬場にかけて休眠期になり、春になると育成期に入る。育成期には除草、刈り込み、水まきを適宜行うことが必要。手入れの基本は刈り込みで、芝の高さが2~3センチになるように刈り込む。また、病気や害虫の予防にも注意しないといけない。

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