寺田農さん 81歳で肺がんのため死去 渋さにじむ名脇役 昭和の名優またひとり…

2024年03月24日 04:50

芸能

寺田農さん 81歳で肺がんのため死去 渋さにじむ名脇役 昭和の名優またひとり…
08年、Jリーグキックオフカンファレンスで詩の朗読をする寺田農さん Photo By スポニチ
 数多くのドラマや映画に出演し高い演技力で知られた俳優の寺田農(てらだ・みのり)さんが14日未明、肺がんのため死去した。81歳。東京都出身。葬儀は近親者で行った。善人から悪役まで幅広い役をこなし、渋さがにじみ出る存在感を発揮した名脇役。声優としても活躍し、宮崎駿監督のアニメ映画「天空の城ラピュタ」(1986年)のムスカ大佐役では「見ろ、人がゴミのようだ」などのセリフが人気となった。
 所属事務所が23日、公式サイトで発表。「最後まで仕事を続けながら、諦めることなく希望を持って、治療に励んでまいりましたが、桜の開花を待たずして帰らぬ人となりました」と報告した。

 肺がんが見つかったのは昨年6月。そうした中にあっても演者としての熱意が冷めることはなく、闘病を続けながら現場入り。まだ制作が発表されていないドラマの撮影も始まっていた。今年1月、現場で関係者から「痩せたな」と声を掛けられた際、「元気だよ」と穏やかな表情で返していたという。

 1961年、文学座付属演劇研究所に第1期生として入所。「青春とはなんだ」(65年)など青春ドラマで注目され、68年には岡本喜八監督がメガホンを取った「肉弾」に主演。終戦を知らずに魚雷を縛り付けたドラム缶で太平洋を漂う若き兵隊を好演し、毎日映画コンクール男優主演賞を受賞した。

 印象的な風貌とたたずまいで活躍の場を広げていき、「駅 STATION」(81年)、「セーラー服と機関銃」(同)など話題の映画に数多く出演したほか、70年代の「Gメン’75」など連続・単発問わずドラマでも引っ張りだこ。相米慎二監督が手がけた85年のポルノ作品「ラブホテル」ではヨコハマ映画祭主演男優賞に輝いた。21年の映画「信虎」では36年ぶりに主演。「ウルトラマン」シリーズなど特撮作品でも知られた。

 60年以上にわたった役者人生だが、代表作を聞かれて返答に窮する場面もあったという。あまたの監督や演出家のイメージに合わせ、変幻自在に自身の色を変え、「カメレオン俳優」と評されたこともあった。役者の真骨頂とも言え、知らない人はいない名脇役として確かな足跡を残した。

 寺田 農(てらだ・みのり)1942年(昭17)11月7日生まれ、東京都出身。早稲田大政経学部中退。65年「恐山の女」で映画デビュー。映画「肉弾」に続き69年公開の「赤毛」にも起用され岡本喜八作品で存在感。08年、東海大文学部特任教授に就任。父は画家の寺田政明さん。義弟は19年に死去した俳優・中山仁さん。

 ≪離婚、再婚そして…婚約不履行で裁判も和解に≫寺田さんは私生活では、1970年に元女優の高橋紀子さん(77)と結婚し、2006年に離婚している。11年に35歳年下の美術関係者の女性と再婚したが、翌12年に10年近く事実婚状態にあったという実業家の女性(67)から、婚約不履行で精神的な苦痛を受けたとして慰謝料5000万円などを求めて提訴された。13年に和解となり、寺田さんは「ホッとしました」とコメントした。

この記事のフォト

おすすめテーマ

2024年03月24日のニュース

特集

芸能のランキング

【楽天】オススメアイテム