「情熱大陸」のナレーター窪田等氏、生涯現役宣言「ブースの中で死にたい」 初の書籍10月に発売
2024年09月15日 04:00
芸能
明確な正解はなく、最も「伝わる」表現を模索する地道な作業だ。それでも「面白いですよ。文章を口で表現するっていうことが好きなんだなと、つくづく思いますね」と楽しそうに語る。
20年にはYouTubeチャンネルを開設。名作小説の朗読を中心に配信しており、現在はチャンネル登録者20万人を超える人気ぶりだ。週一回のペースで投稿を続けているが「追われていますね(笑い)。遊びに行く機会が少なくなりました」とポロリ。それでも続けられるのは「楽しい」という気持ちがあるから。「辛いですけど、やっぱり楽しいですね。やらなきゃいけないと思ってやりだすと“あ、楽しいな”って」。視聴者からの声も励みになっている。「返信はできませんが、全部見ていますし、全部参考にしています。ものすごく励まされています」と感謝を口にした。
近年ではAIによって文章を読み上げる技術も発展し、YouTubeなどでも多用されている。「ものすごく上手いですよね。訓読みのところを音読みにしているのを聞いて“機械がやっているんだ”と気づくくらい良い声」とその技術を素直に賞賛する。一方で「確かに情報としては伝わるけど、その世界観だったりそこに込められた思いはなかなか伝わらないんじゃないかなぁ」とナレーターとしての矜持をのぞかせる。「“真っ赤なバラの甘い香り”という言葉を伝える時に“真っ赤な”を伝えたいのか“甘い香り”を伝えたいのかによって変わるですよ。白いバラの中にパンッと赤いバラがあるんだったら“真っ赤な”を強調するし、そこに漂う香りを表現したいなら“甘い香り”を強調する。同じ文章でも読み方が変わってくるんですね」。そう言いながら、実際にその使い分けを披露してくれた窪田氏。機械には出せないその絶妙なアクセントの変化に、記者はただただ感嘆するばかりだった。
ナレーターとして「お声がかかる限りはやっていくつもりです」と生涯現役を目指す。「ブースの中で死にたいんです。カフ(マイクの電源を切り替えるスイッチ)を下げると同時にパタン、と。そういう死に方って一番いいよなぁ」。包み込むような安心感のある声でそう言い放った。