坐骨神経痛の痛みを悪化させる「やってはいけないこと」

2023年10月11日 09:00

坐骨神経痛の痛みを悪化させる「やってはいけないこと」
腰から脚にかけてしびれや痛みを伴う、つらい坐骨神経痛。 「坐骨神経痛になったらどうすればいいの?」 「もしかして梨状筋症候群かも」 「痛みを和らげる方法は? ストレッチは効果ある?」 このような悩みをお持ちの人へ、坐骨神 […]

腰から脚にかけてしびれや痛みを伴う、つらい坐骨神経痛。

「坐骨神経痛になったらどうすればいいの?」
「もしかして梨状筋症候群かも」
「痛みを和らげる方法は? ストレッチは効果ある?」

このような悩みをお持ちの人へ、坐骨神経痛の症状や原因、セルフケア方法とやってはいけないこと、坐骨神経痛の改善におすすめの漢方薬について、ヨガインストラクターが詳しく解説します。

坐骨神経痛とは

坐骨神経痛とは、腰やお尻、下肢にしびれや痛みなどの症状があらわれた状態です。

坐骨神経は、体内で最も太くて長い末梢神経。太さは鉛筆ほどで、長さはおよそ1メートルもあり、腰から出てお尻を通り、足先にかけて伸びています。

これらの広範囲に及ぶ坐骨神経が何らかの原因で圧迫されることで、坐骨神経の支配領域である部位に痛みやしびれなどが生じます。坐骨神経痛は病名ではなく、これらの症状の総称です。

坐骨神経痛のときに現れる症状

坐骨神経痛の症状としてはお尻や脚の痛み・しびれが挙げられますが、その特徴には個人差があり、感じ方もさまざまです。

多いのは「お尻から太ももにかけて痛みがある」「ふくらはぎや足首がしびれる」「歩いていると痛みが強くなる」などです。

痛みやしびれの感じ方も「急に激痛が走る」「ジンジンしびれる」「鈍痛が消えない」など多岐にわたります。

一般的には、症状は左右どちらかに出る場合が多いとされています。

ほてりや冷感、締めつけ感、脱力感

また、痛みやしびれ以外にも、ほてりや冷感、締めつけ感、脱力感といった感覚異常があり、ひどい場合は歩行や排尿、排泄が困難になるなど、日常生活に支障をきたす場合も。

姿勢や角度によって痛みが増す

さらに、坐骨神経痛を引き起こす要因によって、前かがみの姿勢で症状が出るタイプ、腰を反らせると痛むタイプがあるのも特徴です。

坐骨神経痛の原因はおおよそ3パターンが多い

坐骨神経痛を引き起こす要因として代表的なものは、高齢者に多い「腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)」、若年層にも多く見られる「椎間板ヘルニア」。

そして、お尻の深層部にある筋肉の硬直によって引き起こされる「梨状筋症候群(りじょうきんしょうこうぐん)」などがあります。

▼梨状筋まわりが固いと坐骨神経に障る


【坐骨神経痛ストレッチ】超簡単!梨状筋をほぐすポーズ|梨状筋症候群の対策に

また、加齢による筋力の低下や、長時間座りっぱなしの姿勢でいること、激しい運動や重労働によって腰に過度な負担がかかることも、坐骨神経痛の原因とされています。

坐骨神経痛でやってはいけないこと

坐骨神経痛のときにやってはいけないことは、「長時間同じ姿勢でいること」。

痛みが怖いとつい安静にしてしまいがちですが、動かないでいると筋力の低下を招き、症状が悪化したり治りが遅くなったりする可能性があるといわれます。

立ちっぱなしや座りっぱなしはなるべく避けて、痛みがひどくなければ少しずつストレッチをし、適度に体を動かしましょう。

ただし、日常生活に支障をきたすほど痛みがひどい場合や発熱を伴う場合は、放置せずに医療機関を受診してください。ほかの病気が潜んでいる可能性や手術が必要な場合もあります。

坐骨神経痛の痛みを和らげるストレッチ

「坐骨神経痛のつらい痛みを何とかしたい」。ここでは、そんな方におすすめの、自分でできる坐骨神経痛の痛み緩和方法をご紹介します。

坐骨神経痛の痛み緩和に役立つストレッチを紹介します。ストレッチは無理に深めたり反動をつけたりしないように気をつけ、呼吸に合わせてゆっくり行いましょう。

4の字ストレッチ

  1. 仰向けになり、両ひざを立てます。
  2. 右の足首を左ももの上に乗せ、数字の4の字のようにします。
  3. 左足を少し持ち上げて、両手で左もも裏をつかみます。
  4. 息を吐きながら、ゆっくりと両手で左ももを手前に引き寄せ、右ひざを前方に押します。このとき、右のお尻が浮かないように気をつけましょう。
  5. この動きを左右30秒ずつ(3~5呼吸)くり返します。

左もも裏に手をまわすのがつらい人は、フェイスタオルを細長くして両手で持ち、タオルをもも裏にあててください。

ツイストストレッチ

  1. 仰向けになり、右ひざを曲げて胸に引き寄せます。
  2. 左手を右ひざの外側に添え、息を吐きながら左側に倒します。
  3. 右腕は肩の高さに広げ、リラックスしましょう。
  4. 30秒を目安に深呼吸をくり返します。反対側も同様に行いましょう。

イスに座ったまま行う梨状筋ストレッチ

  1. あぐらを組んで座る
  2. 上の脚を下の脚のヒザの向こう側に立てる
  3. 立てているヒザに反対側の肘をかけ、体をひねる

坐骨神経痛のときのストレッチ

坐骨神経痛の痛みを和らげるツボ

坐骨神経痛の緩和に効果が期待できるツボを2つご紹介します。リラックスした状態で、呼吸に合わせてゆっくり指圧しましょう。

殷門(いんもん)のツボ

太もも裏側のちょうど真ん中あたり、脚の付け根とひざ裏の中央にあります。脚のむくみや腫れの緩和、だるさや疲労の回復に効果が期待できます。

座った状態で片脚ずつ立てひざの姿勢になり、太ももを両手でつかむように中指をツボにあてて指圧しましょう。

委中(いちゅう)のツボ

ひざ裏のちょうど中央にあります。腰やひざの痛みの緩和、こむら返り、足の冷え改善に効果が期待できます。

座った状態で片脚ずつ立てひざにし、左右の親指を重ねてツボにあて、ひざを持ち上げるようにゆっくり指圧しましょう。

坐骨神経痛の痛みを和らげる湿布や薬

坐骨神経痛の痛みがつらい場合は、鎮痛剤や湿布などの使用も可能です。これらは痛みの元となる炎症を抑える役割があるので、痛みの緩和に役立ちます。

医療機関で処方されるほか、ドラッグストアでも購入できます。痛みを緩和することで心的なストレスを取り除き、活動量の低下を防げます。

また、鎮痛剤や湿布を使用しているうちに自然と坐骨神経痛の症状がなくなることもあります。

坐骨神経痛Q&A

坐骨神経痛の影響は体の広範囲に及び、その原因も症状もさまざまです。ここでは、坐骨神経痛で気になることをQ&A形式にまとめました。

坐骨神経痛の痛みはいつまで続くの?

個人差がありますが、一般的には2~3週間ほどでよくなることが多いとされています。また、坐骨神経痛の原因が椎間板ヘルニアの場合、およそ80%の人が3か月ほどで自然治癒するという報告もあります。

これに対して、比較的高齢者に多い腰部脊柱管狭窄症が坐骨神経痛の原因の場合は、症状が出るのも引くのもゆっくりであるため、長引くことが多いようです。

坐骨神経痛が急に治った……なぜ?

坐骨神経痛を引き起こす原因である腰椎の疾患が自然治癒した場合、坐骨神経痛の症状も自然と収まります。

軽度の坐骨神経痛であれば、体操やストレッチなどを行って2〜3週間ほどで症状が出なくなることも少なくありません。

また、比較的若い人に多いとされる椎間板ヘルニアが坐骨神経痛の原因である場合は、自然治癒することが多いと言われます。ヘルニアが自然と小さくなり、坐骨神経への圧迫がなくなることで坐骨神経痛が治まるのです。

坐骨神経痛と梨状筋症候群の違いは?

梨状筋症候群(りじょうきんしょうこうぐん)とは、お尻の深層部に位置する梨状筋と、周辺の腱膜が緊張して硬くなり、お尻に痛みやしびれなどの症状があらわれる病気です。

梨状筋はお尻の深いところで坐骨神経と交差しているため、梨状筋が硬直して坐骨神経を圧迫すると、坐骨神経痛の原因になります。

先述の通り、坐骨神経痛は病名ではなく、坐骨神経が何らかの原因で圧迫されることで生じる痛みやしびれなどの総称です。そのため、梨状筋症候群は「坐骨神経痛の要因のひとつ」と考えられます。

坐骨神経痛と腰痛、なにが違う?

「腰痛」は腰部に痛みや張り、炎症などがあらわれた状態で、坐骨神経痛と同じく病名ではなく症状の総称です。

腰痛は腰に症状が出ている状態なのに対し、坐骨神経痛の症状は、坐骨神経の支配領域である腰からお尻、足先まで広範囲に及びます。

坐骨神経痛の原因が、腰部脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアなど腰椎にある場合、坐骨神経痛と腰痛が同時に起こることもあります。

坐骨神経痛を放置するとどうなる? 病院に行く目安は?

坐骨神経痛を放置すると、自然に治る場合も、逆に悪化する場合もあります。

ストレッチや体操などを取り入れて2~3週間経っても症状が改善しない場合や、1か月以上など、長期にわたり痛みやしびれがひどい場合は病院で受診することをおすすめします。

また、歩くのもつらい、楽な姿勢がないなど、日常生活に支障をきたす場合や、お尻や会陰部(えいんぶ)にしびれやほてりがある場合、排尿障害を伴う場合は早めに医療機関を受診しましょう。

坐骨神経痛には漢方も選択肢のひとつ

坐骨神経痛の治療には、漢方薬が用いられることもあります。坐骨神経痛では、神経の圧迫を緩和するために、神経を圧迫する可能性のある筋肉や血管にアプローチする漢方薬や、鎮痛作用がある漢方薬が選ばれます。

また、神経痛や関節痛の原因のひとつに冷えや湿気があります。そのため漢方では、からだを温めたり、水の循環を良くして排泄することにより痛みやしびれを緩和するのです。

漢方薬は、からだの内側から働きかけて機能の回復を促し、不調を引き起こす体質を根本から改善に導くのが特徴です。また、自然の生薬でできた漢方薬は、一般的に副作用が少ないとされている点も安心できるポイントです。

ここでは、坐骨神経痛でお悩みの方におすすめの漢方薬をご紹介します。

坐骨神経痛でお悩みの方におすすめの漢方薬

疎経活血湯(そけいかっけつとう)

不足した「血(けつ)」を補い、停滞した「水」の流れを改善し、血液循環や水分代謝を促して全身に栄養を行き渡らせます。腰痛をはじめ、関節痛や神経痛、筋肉痛など、幅広い痛みに使われます。肩こりや手足のしびれがある方にもおすすめです。

牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)

「腎(じん)」の働きを活性化して排泄機能を改善します。排尿障害、腰から下の冷えやしびれ、腰痛、脚のむくみなどに使われます。

八味地黄丸(はちみじおうがん)

からだを温めて「腎」の働きを助けて回復力を高め、尿トラブルや腰痛、かすみ目、しびれなど、老化に伴うさまざまな症状を改善します。体力がなく疲れやすい方や、足腰が冷えやすい方にもおすすめです。

ただし、漢方薬を選ぶときは、その人の状態や体質に合っているものを選ぶことが重要です。うまく合っていないと、効果を感じられないだけでなく、場合によっては副作用が生じることもあります。

どの漢方薬が自分に合うのかを見極めるためには、プロの力を借りるのがおすすめです。「あんしん漢方」などのオンライン漢方サービスに、一度相談してみるのもいいでしょう。

漢方に詳しい薬剤師が一人ひとりに効く漢方薬を見極めて、お手頃価格で自宅まで郵送してくれます。

正しい知識で坐骨神経痛の悪化を予防しよう

老若男女問わず悩む方が多いといわれる「坐骨神経痛」について、その原因や特徴、セルフケア方法、悪化させないポイントなどをご紹介しました。

坐骨神経痛は、いつ誰にでも訪れる可能性がありますが、正しい知識を学ぶことで悪化を防ぎ、回復を促すことができます。

軽度の痛みであれば、ご紹介したセルフケア方法を取り入れて様子を見ることもできますが、症状がよくならない、何度も繰り返す、ほかの症状が出てきた場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

<参考サイト・文献>
腰部脊柱管狭窄症とは | 健康長寿ネット (tyojyu.or.jp)

坐骨神経痛|痛みの原因・症状・治療法・悪化を防ぐ日常生活のコツ|日本薬師堂|健康コラム (nihonyakushido.com)

『坐骨神経痛|腰と神経の名医が教える最高の治し方大全』(文響社)

疎経活血湯(ソケイカッケツトウ) | 製品情報 | ツムラ (tsumura.co.jp)

牛車腎気丸(ゴシャジンキガン) | 製品情報 | ツムラ (tsumura.co.jp)

八味地黄丸(ハチミジオウガン) | 製品情報 | ツムラ (tsumura.co.jp)

<この記事を書いた人>
古城美季(こじょうみき)
ヨガインストラクター・ライター。2015年にRYT200(全米ヨガアライアンス認定)を修了し、3000時間以上の指導歴と、インストラクターのトレーナーとしての経験を持つ。ひとりひとりの心と身体に合わせたパーソナルなレッスンが得意。現在は、自分に適した漢方薬を、お手頃価格で自宅に郵送してくれる「あんしん漢方」などで兼業ライターとしても活躍。ヨガと言葉を通して「心身の健康」や「心豊かな暮らし」のサポートができるよう心掛けている。
あんしん漢方(オンラインAI漢方)

<Edit:編集部>

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