【画像つき】さつまいもに「カビ」が!食べられるかの見分け方とは[管理栄養士監修]

2023年10月11日 09:00

【画像つき】さつまいもに「カビ」が!食べられるかの見分け方とは[管理栄養士監修]
「さつまいもを食べようと思ったら、カビらしきものが……」、これってきっとあるあるな状況ですよね。でもこの「カビらしきもの」は本当にカビなのでしょうか? 管理栄養士さんに、さつまいものカビについて詳しく聞きました。「さつま […]

さつまいもを食べようと思ったら、カビらしきものが……」、これってきっとあるあるな状況ですよね。でもこの「カビらしきもの」は本当にカビなのでしょうか?

管理栄養士さんに、さつまいものカビについて詳しく聞きました。「さつまいもについているカビの見分け方」「買ったばかりのさつまいもがカビている理由」なども解説します。

さつまいもにカビらしきものが……これって何?

さつまいもについてる「黒い」ものはカビ?

「さつまいもの皮についている黒いもの」はカビ?

さつまいもの皮についている黒いものの正体は、さつまいもに含まれる「ヤラピン」という成分が皮に付着して、黒く変色したものであることが多く、カビではありません。

ヤラピンは、空気に触れると黒く変色します。収穫時、端を切り揃える際に、断面から滲み出たヤラピンが、皮の部分に付着することがあります。その結果、さつまいもの表面が黒くなることがあります。

「さつまいもの皮についている黒いものは蜜で、甘い証拠!」と思っている人がいますが、残念ながら皮についているものの多くはヤラピンです。

「さつまいもを切った時に出る黒い斑点」はカビ?

さつまいもを切った時に黒い斑点がある場合、内部褐変症の可能性があります。原因ははっきりと分かっていませんが、体への害はないと考えられています。

腐っていると思われやすいですが、腐っているわけではなく、腐敗臭はしないのが特徴です。

さつまいもの内部褐変症は、

  • 300g以上の大きなもの
  • 高温・乾燥の条件で保管

で起こることが多いです。

内部褐変症は、切ってみないと分からないため、自宅でカットして初めて気づくパターンが多いでしょう。

「さつまいもを切ってしばらくすると出てくる黒い斑点」はカビ?

さつまいもを切ってしばらくすると現れる黒い斑点の正体も、ヤラピンという成分でカビではありません。

ヤラピンは、切ってすぐの時は白い液体ですが、空気に触れると黒くなり、斑点状になります。

さつまいもについてる「ふわふわ」はカビ?

写真提供:@noda583

さつまいもについているふわふわの白い綿状のものの正体は、白カビの可能性が高いです。

収穫や出荷の際にさつまいもにできた傷から、「糸状菌」という微生物が侵入し、貯蔵中や輸送時に白いカビが発生することが多いです。

さつまいを切った時の「白いブツブツ」はカビ?

さつまいもを切った時にでる白いぶつぶつは、さつまいもに含まれるヤラピンという成分で、カビではありません

ヤラピンは、古くから緩やかに排便を促す緩下剤(かんげざい)として知られています。さつまいもの食物繊維とヤラピンの相乗効果により、便秘改善効果があると考えられています。

さつまいもにできるカビの種類

さつまいもには、白カビ・黒カビ・青カビなど、様々な種類のカビが発生する可能性があります。さつまいもに発生するカビの種類や見た目をご紹介します。

白カビ

白カビは、「糸状菌」という微生物の一種によって引き起こされます。軟腐病といいます。

収穫や出荷の際にさつまいもにできた傷から糸状菌が侵入し、貯蔵中や輸送時に白いカビが発生します。

白カビの見た目は?

白カビが発生したら、さつまいもの表面に白色のくもの巣のようなふわふわしたものが生えます。さつまいもの切り口から腐り始めます。

黒カビ

土の中にいる「糸状菌」という微生物の一種によって引き起こされます。黒斑病と言います。

黒カビの見た目は?

黒カビが発生したさつまいもは、皮の表面に直径2~3㎝の黒色のまだら模様ができます。まだら模様の中央には細かい毛のようなものが生えることもあります。

黒カビがひどくなると、まだら模様が合わさって大きくなります。内側まで腐敗が進むと、まだら部分がくぼんできます。

青カビ

「糸状菌」という微生物の一種によって引き起こされます。青かび病と言います。

収穫や出荷の際にさつまいもにできた傷から糸状菌が侵入し、貯蔵中や輸送時に青いカビが発生します。発生ルートは白カビと同じです。

青カビの見た目は?

写真提供:@sukusukugenkids

 青カビが発生したさつまいもは、表面に黒褐色の円形の模様ができます。青カビがひどくなると、内側まで腐敗が進みます。

「カビか」「カビじゃないか」の見分け方

さつまいもが「カビ」か「カビじゃないか」見分けるポイントとして、

  • 変色の加減
  • 感触
  • 匂い

を確認して見分けると良いでしょう。

カビているさつまいもの場合、「変色部分が広い」「柔らかい感触やぬめりがある」「異臭がする」ことが多いです。

カビたさつまいもは食べられる?

白カビ・黒カビ・青カビ、どのカビであってもカビている場合は食べない方が良いでしょう。

たとえカビている部分を取り除いたとしても、さつまいも全体がカビ菌で汚染されている可能性があります。そのため、一部分でもかびが生えていたら、食べない方が良いでしょう。

カビたさつまいもを食べたらどうなる?

カビたさつまいもを食べた場合、以下の症状が起きる恐れがあります。

  • 肝臓障害
  • 消化管の充血や出血
  • 潰瘍(粘膜や皮膚の表面が炎症を起こしてくずれた状態)
  • 嘔吐・下痢などの消化器症状
  • 免疫抑制により感染症リスクが増加する
  • 腎臓障害
  • ガンの発症(発ガン性があるため) など

一部のカビは、天然毒素を生み出します。これを「カビ毒」といいます。カビ毒は、現時点で300 種類以上確認・報告されています。

カビ毒は、通常の調理や加工の温度(100〜210℃)や時間(60分以内)では、完全に分解できません。もったいないと感じるかもしれませんが、カビた食品は食べないようにしましょう。

買ったばかりのさつまいもがカビる原因

買ったばかりのさつまいもがカビた場合、残念ながら、購入時点ですでに糸状菌の一種がさつまいもに侵入していた可能性が考えられます。

また、低温や高温の環境下で保存していると、カビが発生する可能性が高くなります。さつまいもをカビさせないためには、正しい方法で保存しましょう。

さつまいもをカビさせない保存方法

保存の方法

新聞紙で1個ずつさつまいもを包みましょう

新聞紙は適度な通気性があるため、カビにくいです。包む際、さつまいもの表面に水分がついていないことを確認してください。水分が付着した状態で保存すると、カビの原因になります。

保存の温度

さつまいもの保存条件は、

  • 温度が13〜15℃
  • 湿度が85〜90%

と言われています。品種によっては、15℃程度が望ましいとされています。台所の片隅などで、段ボール箱に入れておくと長持ちします。

10℃を下回るような低温環境でさつまいもを保存すると、変色・腐敗の原因となります。冷蔵庫に入れたり、冬は屋外で保管したりしないようにしましょう。

監修者プロフィール

株式会社Luce・健康検定協会所属
神原 李奈

管理栄養士神原 李奈

管理栄養士・食育栄養インストラクター。現役CAとして世界中を飛び回りながら、管理栄養士として健康や食に関する情報を発信している。

▼参考
JAなめがた甘藷部会連絡会 なめがた農業協同組合 焼き芋の話
一般財団法人いも類振興会 II章 サツマイモの特性
園学研.(Hort. Res. (Japan)) 8 (1) : 47–53.2009. サツマイモ‘高系 14 号’の内部褐変症の発生に関する組織形態的および生化学的要因の検討
農林水産省 かびとかび毒についての基礎的な情報
食品のカビについて
株式会社 全国農村教育協会
食品安全委員会 「食の安全ダイヤル」に寄せられた質問等Q&A【生物系物質】
東京都保健医療局 カビとカビ毒

<Text:編集部>

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