「長髪可が過半数」「18%の監督が1カ月無休」実態調査で見えた高校野球の多様化と現実

2023年06月29日 07:30

野球

「長髪可が過半数」「18%の監督が1カ月無休」実態調査で見えた高校野球の多様化と現実
高校野球の”聖地”甲子園球場 Photo By スポニチ
 今月、日本高野連が全国の硬式加盟校に高校野球の実態調査を行った。5年おきに実施しているアンケート調査で、全体の99・2%にあたる3788校が回答した。計107個の質問を通して見えてきたのは、時代に応じた高校野球の変化である。
 高校球児は前例に縛られず、現代的な価値観を柔軟に取り入れている。その象徴が髪型の規則に関する回答である。「特に取り決めず、長髪も可」と回答した高校は、全体の59・3%を占め、18年の14・2%から急増した。反対に「丸刈り」と答えた学校は26・4%にとどまり、5年前の76・8%から激減した。今夏地方大会の組み合わせ抽選会を見ても、坊主頭の部員は全体の半数程度の印象を受ける。その中でも公立校や進学校などで髪型を自由に選択している学校が多く、強豪私学などでは坊主頭の慣習を継続している高校が多い。

 「新入部員の野球経験者が減っている」との回答は、08年の16・1%から57・4%に急増した。小中学生の間に取り組むスポーツの選択肢が増えているのだとすれば、必ずしも悲観的に捉える必要はないだろう。ただし、日本高野連の宝馨会長が「学校単位での部員の減少が深刻化している。野球未経験の幼児、小学生へ向けた野球熱を高める工夫を考えたい」とコメントしたように、野球の普及率低下に関する対策は喫緊の課題の一つと言える。

 指導者の負担については、改善傾向が見られない。全体の18%の監督が1カ月間無休で指導しており、「無休でよい」と回答した8・3%と乖離がある。責任教師についても、「ほとんど毎日参加し、技術指導をしている」高校は全体の46・5%を占め、5年前の42・%5とほぼ横ばいのままだ。これは高校野球に限らず、高校の部活動全体が抱える課題だろう。5年後の調査で改善傾向に転じる道筋すら見えていないのが現状と言えそうだ。

 他には、携帯電話の使用を部員の自由とする学校や休日の練習時間が減少した学校が5年前と比べて増えたことも明らかとなった。強豪私学で甲子園出場を目標に励んだり、勉学に軸足を置いたり、選択肢が多様化していることは学生にとってプラスだろう。髪型の自由化など、時代に取り残されずによりよい環境に整備されていくことが、高校で野球を始めたり、続けることのハードルの高さを解消する一歩となることを願う。(記者コラム・河合 洋介)

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