エンゼルス・大谷の手術は「トミー・ジョン」でも「保存療法」でもない全く新しい術式

2023年09月21日 05:00

野球

エンゼルス・大谷の手術は「トミー・ジョン」でも「保存療法」でもない全く新しい術式
大谷が負傷した箇所 Photo By スポニチ
 【ベースボール&スポーツクリニック理事長、東工大野球部コーチ馬見塚(まみづか)尚孝理事長の見解】球団リリースでは“生存可能な組織を追加しながら、適切な位置に健康なじん帯を強化する”と説明している。右肘のじん帯は完全に切れておらず、長くプレーするために補強したというように解釈できる。
 他の部位から腱(けん)を移植して修復を図った手術で間違いないだろうが、肘より先の前腕にある長掌筋を採取し、上腕骨と尺骨に作った穴の中に通す伝統的な“トンネル型”の(1)トミー・ジョン(TJ)手術ではなく、上腕骨と尺骨に直角に穴を空けてねじを締めて固定するような“ドッキング型”のTJ手術でもない。(2)PRP(多血小板血しょう)注射による保存療法でもないだろう。(3)人工じん帯(インターナル・ブレース)とは説明されていないが、米国では人工じん帯にコラーゲンが配合されていて、「生存可能な組織」はそれを説明しているかもしれない。

 今回はこれらに当てはまらない第4の手術をしている可能性がある。近年、研究が進んでいる解剖学的な新しい術式で、上腕骨と尺骨に開ける穴の位置がより手首側になり、2回目以降の手術としては有効だ。穴は何度も開けることができない。これまでの説明によれば、18年に再建した右肘のじん帯は軽症。長きに渡って活躍するために、今回痛めた右肘のじん帯は残して、新しい腱(けん)を上から補強したとみていいだろう。

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