【オリV3特別対談 由伸―能見氏】フォーム改造、中嶋監督への思い、注目のメジャー…語り尽くした

2023年09月21日 07:30

野球

【オリV3特別対談 由伸―能見氏】フォーム改造、中嶋監督への思い、注目のメジャー…語り尽くした
対談を終え、能見氏(右)と笑顔を見せる山本(撮影・須田 麻祐子) Photo By スポニチ
 【パ・リーグ   オリックス6-2ロッテ ( 2023年9月20日    京セラD )】 山本由伸投手(25)が昨季までチームメートだった能見篤史氏(44=本紙評論家)と対談し、注目されたフォーム改造や中嶋監督への思いなど、リーグ3連覇への道のりを語り合った。 (取材・構成=中澤 智晴、友成 貴博)
 能見 今季を振り返ってみて。

 山本 凄く満足した試合はあまり多くなくて。でも、思ったよりもいい成績になっているな…と。

 能見 目指すところが高いから、少しモヤモヤが残る?

 山本 絶妙な感じです。

 能見 マークが厳しくなり、特に今季は吉田正尚も抜けた中で3連覇した。

 山本 森さんが入ったり、(山下)舜平大や東ら若手も出てきて、選手も入れ替わりました。去年やおととしの積み重ねが生きている部分もあるし、新しいチームの雰囲気で強い感じもあって、どちらの力もあったと思います。

 能見 ここまで独走するとは。

 山本 選手も“俺らは強い”という自覚はありません。けど、結果を見れば、ゲーム差が離れている。何でだろう、と。圧倒している感覚はなかったです。

 能見 中嶋監督について改めて感じたことは。

 山本 とにかくチームのことをメチャクチャよく考えています。人のせいにしない、凄く責任感のある方です。もし結果が悪かったら、凄く責任を感じるのでは。選手のせいには絶対にしないので。監督が自分を責めて一番落ち込む気がします。

 能見 3月にはWBCに出場して始まったシーズンだった。影響はあった?

 山本 公式戦へ向けて球数を増やしていく時期の開催。試合数や投球数が少なくなってシーズン最初の方は球数を多く投げられないことはありましたけど疲れで影響したことは全くなかったです。

 能見 影響が出る選手はいる。やっぱり土台がちゃんとしているから。今回は凄い選手が集まった。ダルビッシュや大谷らと一緒にやったことで感じたことは。

 山本 一流選手の日常的な練習もそうですけど、試合への入り込み方が凄く一流でそこが一番勉強になりました。

 能見 今年は左足を上げない新フォームも注目された。

 山本 取り組んでいることの延長線です。やっていることは、そんなに変わりはなく、間合いの違い、タイミングの合わせ方の違いで、基本的なことは変わりがありません。変えてはいるけど、大きく変えた感じではないです。

 能見 沢村栄治さんの左足を上げない投球フォームの映像を見たとか。

 山本 まねしたわけではないです。後から見たら、たまたま一緒でした。あの時代は“これが正解の投げ方”というのはあまりなかったと思います。それで、あれだけの成績で投げていたならいい投げ方だったのかな、と。

 能見 走者が出たらセットで投げることになる。その延長線かな。要は出力の出し方で、いい方法を探っていたと思う。たぶん、まだ完成はしていない。自分に合ったモノを見つけていく段階かな。こちらからすると未知の領域。

 山本 どこまでいっても完成形はないと思います。でも、いい投球は増えていますし、去年より良くなっている数値もあって、投げている感覚よりもスピードが出る球も多いです。でも、ダメなところも多い…という感じです。

 能見 後輩はどんな存在。特に宮城は対抗心を燃やしている。

 山本 ライバルではないです。

 能見 本当にみんな仲がいい。素直に応援している人が多くて“蹴落とす”という感じがない。そんな中で由伸投手に対してだけは、宮城だけでなく、みんな意識している。舜平大も、また人と違うモノを持っている。どう見ている。

 山本 凄く真面目。いまは少し状態が悪いけど、こういう経験をして、また成長していくと思います。どう乗り越えるのかが、凄く大事だと思います。僕もケガをして離脱したり、“長いイニングを投げられない”と言われた時期もありました。いろいろ言われながら、褒めてもらったりもしたけど、褒められた記憶がないくらい、いろいろ言われながらやってきました。

 能見 最近の登板はメジャー球団のスカウトが視察して話題にもなっている。

 山本 僕はそんなに変わっていません。周りがザワザワしているだけです。僕がやっていることは変わっていません。

 能見 どうなるかは、ゆくゆく分かること。その前にポストシーズンがある。特にファイナルステージで待つ側は試合間隔も空いて難しい。

 山本 久しぶりだと試合前の緊張感やドキドキする感じはあります。1週間くらい空いて初戦に入るので、その1試合目が大事になります。そこに投げさせてもらえると思うので、全力を出し切れるように準備していきます。

 能見 まだまだ凄い投球を期待しています。

 山本 ありがとうございます。頑張ります。

 ◇山本 由伸(やまもと・よしのぶ)1998年(平10)8月17日生まれ、岡山県出身の25歳。都城(宮崎)から16年ドラフト4位でオリックス入り。19年に最優秀防御率、20年に最多奪三振を獲得。21年から2年連続で勝利数、防御率、勝率、奪三振の4冠に輝き、リーグMVPと沢村賞も2年連続受賞。19年プレミア12、21年東京五輪、23年WBC日本代表。1メートル78、80キロ。右投げ右打ち。

 ◇能見 篤史(のうみ・あつし)1979年(昭54)5月28日生まれ、兵庫県出身の44歳。鳥取城北から大阪ガスを経て、04年ドラフト自由枠で阪神入り。12年に172奪三振で初タイトル。20年オフにオリックスへ投手コーチ兼任で移籍して22年限りで引退。通算474試合で104勝93敗4セーブ、防御率3.35。13年WBC日本代表。左投げ左打ち。

【由伸アラカルト】
 ★絶対的エース 3年連続の投手4冠が視野に入る。目下14勝6敗の貯金8。3年連続15勝なら球団では76~79年山田久志以来。3季以上連続で貯金10以上なら07~09年ダルビッシュ(日)以来プロ野球8人目(9度目)で、球団では初になる。
 ★新フォーム効果 今季から左足をほとんど上げない新しいフォームに改良。与四球率1.56と走者得点圏での被打率.158は、ともに規定投球回に到達した19年以降の5年間で最良と進化を続ける。
 ★レジェンド級の貢献度 リーグMVPの最有力候補で、3年連続受賞なら他球団を含めても76~78年山田久志、94~96年イチローの球団OBしかいない。

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