阪神・大山 意地のサヨナラ打!!連続申告敬遠に燃えた「抜けてくれと思って走った」

2023年11月02日 05:15

野球

阪神・大山 意地のサヨナラ打!!連続申告敬遠に燃えた「抜けてくれと思って走った」
日本シリーズ<神・オ>9回、サヨナラ打の大山(撮影・大森 寛明) Photo By スポニチ
 【SMBC日本シリーズ2023第4戦   阪神4―3オリックス ( 2023年11月1日    甲子園 )】 「SMBC日本シリーズ2023」の第4戦が1日に甲子園で行われ、阪神がサヨナラ勝利で2勝2敗のタイに戻した。3―3の9回1死満塁で大山悠輔内野手(28)が左前に殊勲打を運んだ。今シリーズは過去3試合で11打数2安打、打率・182に低迷。この試合も7回までの4打席で無安打に終わっていた4番が、本拠地の大歓声に背中を押され、4時間6分の熱戦に終止符を打った。
 地鳴りのような大歓声を全身で感じながら、大山は一塁へと駆けた。いつもは冷静な男が、右拳を突き上げ、感情を爆発させている。ベンチは空っぽ。喜色満面の仲間にもみくちゃにされ、心の底から安堵(あんど)したような表情を浮かべていた。

 「三塁走者を本塁に還すだけだったので、抜けてくれと思って走った。どんな形でも勝ったことが一番」

 大山本人は「別に何もない」とサラリと振り返ったが、心中穏やかではなかったはずだ。9回1死三塁。打席の中野がフルカウントとなったところで、中野、森下と続けて申告敬遠された。オリックス守備陣がフォースプレーや併殺を取りやすい満塁策とはいえ、4番との勝負を選ばれたことに変わりはない。燃えたぎる思いを胸に秘めつつ「より冷静に、と思い打席に入った」。フルカウントからの7球目、内角高め148キロツーシームを砕き、試合を決めた。

 2―1の5回1死一、三塁では、遊ゴロ併殺崩れで貴重な3点目を生んだ。信念とする全力疾走でもぎ取った重要な1点。「どんな形であれ、得点すること。1年間、しっかり走り切ることをやってきた成果が出た」。2月のキャンプインから、春、そしてうだるような暑さの夏、優勝が近づく秋…。大山は全力疾走だけは欠かさなかった。その姿勢は確かに虎に浸透した。

 「“こういうことをしているんだな”とか、姿勢とか、そういうところを(後輩や仲間に)見てもらった方が、僕自身も手を抜けなくなる。そっちの方が自分にとっていい。だからといって、僕も手を抜くつもりはない」

 だからナインは口々に言う。「大山が打てなかったら仕方ない」――。今シリーズ、このサヨナラ打の前まで15打数2安打、打率・133と沈黙。不振にあえぐ中でも、誰もが大山の快音を信じ、そして主砲も応えた。

 甲子園で日本シリーズの勝利を収めるのは、ソフトバンクと戦った14年10月25日の第1戦以来、実に3294日ぶり。“記録的1勝”で2勝2敗のタイとし、頂点まであと2つ。歓喜の余韻が残るであろう第5戦で、日本一に堂々王手をかける。(八木 勇磨)

 ○…シリーズのサヨナラ勝ちは昨年第5戦のオリックス以来42度目。阪神では03年ダイエー第4戦以来20年ぶり4度目になるが、過去3度はいずれも延長10回で、9回サヨナラ勝ちは球団初だ。サヨナラ打は大山で、1死満塁のカウント3―2から。満塁からのサヨナラ打は16年の西川(日=満塁本塁打)以来9人目で、チームでは03年藤本敦士(犠飛)に次ぎ2人目。フルカウントからのサヨナラ打は大山がシリーズ初となった。

 ○…阪神が1試合に2個の故意四球をもらうのは、62年東映第7戦に次いで2度目。この時は8回裏2死二塁で藤本勝巳、11回裏2死二塁で吉田義男が敬遠されており、イニング2個の故意四球は今回が初めて。 

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