【虎番リポート】坂本のフレーミングが生んだ「極上の一球」 テレビ解説吉田正尚もうなった技術

2023年11月15日 05:15

野球

【虎番リポート】坂本のフレーミングが生んだ「極上の一球」 テレビ解説吉田正尚もうなった技術
日本シリーズ第1戦、5回無死一塁。頓宮は見逃し三振に倒れる。投手村上(撮影・北條 貴史) Photo By スポニチ
 日本シリーズ終了翌日、「1年間お疲れさまでした」と一言だけLINEを送ると、すぐ返信があった。「ちょっとの間、野球のことは考えません笑」。阪神・坂本の“野球遮断”には疲労とともに濃密なシーズンを過ごした充実感も漂っていた。
 京セラドームの駐車場で「ふぅ~」と息を吐いたのは日本シリーズ初戦の直後。愛車に乗り込む前、2人で話す時間があった。「あの一球はデカかった」と振り返ったのは5回。無死二塁で頓宮を見逃し三振に仕留めた場面だ。フルカウントから村上の投じた外角低めの直球は、微妙なコースも、球審の手が挙がってストライク。若きエースと女房役の強みが合わさった“極上の一球”だった。

 「(シリーズを通して)間違いなくあの一球は大きかった。あれはボールと言われてもおかしくない。四球ならどうなっていたか分からない。フレーミングと言われますが、村上のホップ成分が強いボールがあってこそ。あれはミットで捕りにいったらダメで、ボールがミットに入ってきて浮き上がる感じ」

 大学時代から親交のあるレッドソックス・吉田からもテレビ解説で「うまい。誠志郎、ボールをストライクにしている確率高いんじゃないですか」と絶賛された。試合後には家族から「吉田くん、途中から“坂本選手”じゃなく“誠志郎”と呼んでたよ」と連絡もあったそうだ。フレーミングの猛者たちが集うメジャーリーグで戦う強打者もうならせる技術は、日々の研さんはもちろん、天性のものでもある。

 坂本が自虐的に笑う「僕は足短い」という身体的特徴。左膝が左手と接触しにくく、ミットの操作性を高める。そのミットの親指部分のひもは今、切れかかっている。梅野が離脱した8月中旬以降、リーグ屈指の投手陣のボールを受けてきた勲章。30歳の誕生日に届いた初のゴールデングラブ受賞が、より一層輝く頂上決戦での強み発揮だった。
(遠藤 礼)

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