松坂大輔氏 「限界を決めない」パドレス・ダルのサイ・ヤング賞が見たい

2024年05月28日 02:30

野球

松坂大輔氏 「限界を決めない」パドレス・ダルのサイ・ヤング賞が見たい
今年3月、キャンプ地を取材した松坂氏(左)とダルビッシュ(松坂氏のインスタグラムから)
 【平成の怪物が行く 松坂大輔の探球】いつの日かサイ・ヤング賞を――。本紙評論家・松坂大輔氏(43)による月1回の連載コラム「松坂大輔の探球」。史上3人目の日米通算200勝をマークしたパドレス・ダルビッシュ有投手(37)を祝福した松坂氏。西武時代に18歳だったダルビッシュ(当時日本ハム)と1度だけ、公式戦で投げ合ったことがある。それから19年。年齢を重ね、なお進化する右腕の凄さを改めて語った。
 04年ドラフト1巡目で日本ハムに入団したダルビッシュ投手は、今年がキャリア20年目。右肘手術などもありましたが、白星を200個積み上げるのは本当に大変なことだと改めて感じました。自分も日米でプレーして、1つ勝つことの難しさは身に染みて分かっています。それだけに節目の数字に到達したダルビッシュ投手を心から祝福したいですね。

 通算198勝目を挙げたカブス戦をシカゴで取材した際に、本人と話をさせてもらいました。37歳になっても変わらないのは、三振を取る能力の高さです。切れ味満点のスライダーはもちろん、確実に三振を奪える球種を持っていて、それらを高いレベルで維持している。簡単にできることではありません。

 そんなダルビッシュ投手と1度だけ投げ合ったことがあります。彼が日本ハム1年目の05年6月27日。当時の投げる姿を見ていて感じたのは、何よりポテンシャルの高さです。将来、間違いなく日本を代表する投手になるだろう、と。特に変化球が豊富で、実に巧みに投げる。プロの投手ともなれば、ただ投げるだけなら誰でもできます。彼はさまざまな球種を、試合で使えるレベルの決め球として操っていました。後はマウンドでの立ち姿。一流の投手が持つ雰囲気、たたずまいは年齢を重ねた今も同じですね。

 当時から変わらぬ探究心。09年WBCでは侍ジャパンで一緒に戦いましたがメジャーでのトレーニング法や肩のケアの仕方などさまざまなことを聞かれたことを覚えています。相手が年上、年下でも関係なく、興味のあることに対して積極的に学ぶ姿勢は今も変わりません。まだまだ、うまくなる――。自分で限界を決めない。それがダルビッシュ投手を支えている要素の一つだと思います。

 その探究心と野球に取り組む姿勢は、間違いなく若い投手の手本になっています。彼は自分の技術などを発信することにも熱心。プロだけではなく、日本中のアマチュアの選手にも届いているでしょう。まさに「生きた教材」で、誰もが目指そうとする目標。次はどんな景色を見るのでしょうか。20年には日本投手初の最多勝に輝いていますが、自分はいつの日かサイ・ヤング賞に輝く日を見てみたい。そこに到達できるのが、ダルビッシュ有だと思っています。(本紙評論家)

 ▽ダルビッシュと松坂氏の唯一の投げ合い ルーキーだったダルビッシュはプロ2度目の登板。初回に先制点を失うも、7回102球を投げて5安打2失点。初登板の広島戦も勝利しており、高卒新人の初登板から2試合連続勝利はドラフト制後で史上4人目だった。松坂は8回完投も5安打9奪三振4失点(自責3)で黒星。ダルビッシュは松坂に投げ勝ち「自信になる」と素直に喜び「(松坂氏は)負けていても試合を任される信頼が凄い」と話した。

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