手術や故障多発、大学生投手は投げすぎなのか 今春リーグ戦で誰よりも“投げすぎた男”に聞いた本音

2024年05月28日 07:30

野球

手術や故障多発、大学生投手は投げすぎなのか 今春リーグ戦で誰よりも“投げすぎた男”に聞いた本音
関大・金丸 Photo By スポニチ
 大学生投手が球数を投げすぎではないかとの議論が起こり始めている。プロ入りした大卒投手に故障者が続出したことが始まりとなった。ともに23年ドラフト1位で入団した中日の草加勝、阪神の下村海翔が右肘のトミー・ジョン手術を受け、広島の常広羽也斗はコンディション不良もあり、開幕から2軍調整を続けている。さらに、今秋ドラフト1位候補に挙がる関大の金丸夢斗(4年)が中3日で先発登板した今春リーグ戦で故障し、最終節の登板を回避した。
 今春6戦に登板した金丸の球数は、リーグ5位の多さとなる490球だった。大半のリーグ戦で先に2勝した大学が勝ち点を獲得する方式のため、3回戦まで進んだ場合は、1回戦で先発したエース投手が中1日で登板することが多い。金丸も「中1日」での救援を2度経験した。ただし、リーグ戦は約2カ月の短期決戦であることを踏まえる必要がある。大学生は、本当に投げすぎなのだろうか――。この春、誰よりも投げた投手に率直な意見を聞くことにした。

 関大の金丸と同じ関西学生野球で今春700球を超えた投手が2人いる。766球の同大・高木寛斗(4年)と731球の近大・北見隆侑(3年)である。最も球数を投げた同大の高木は、「投げるときに気になるほどの疲労感はありません」と振り返る。5節中4度で中1日での先発を経験した。「1回戦で完投して3回戦でも先発という起用が続けば、どうなるか分からないですけど、僕は毎試合5、6回で交代していたので中1日でも問題ありませんでした」。故障リスクの回避には、登板間隔よりも前回の投球内容などが重要になるとみている。

 近大の北見は「多少の疲れはあるけど、投球に支障をきたすほどではありませんでした。いい感覚を保てていますし、まだまだ投げられます」と明かした。中1日での先発が2度あり、2完投、投球回はリーグ断トツの53イニングを数えた。「基本的に次回登板まで1週間の猶予があるので、投げすぎだとは思いません。連投が続くとケアが大事になるけど、リーグ戦期間は調整できる時間もあるので、まだ投げられると思います」と平然と答えた。

 ある投手は「たとえば150キロ以上投げられる投手は出力が大きい分、疲労が異なるかもしれません」と分析する。1シーズンを乗り越えられたとしても、大学4年間での蓄積疲労が故障リスクにつながる可能性もあるだろう。現場の声を聞く限り、現状では投げすぎだとも言い切れない。ただし慣習に縛られず、活発な議論を進めておくことが選手を守ることにつながることは間違いない。(記者コラム・河合 洋介)

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