中畑清氏　高校野球7イニング制大反対！別の方法で猛暑対策を

2024年08月20日 05:30

野球

　【キヨシスタイル！】連日の猛暑にも負けず、夏の甲子園はベスト4が決まった。準々決勝前日の休養日が日曜日でもったいない気もしたけど、球児の健康を考えての日程だから仕方ない。

　これも球児の負担を考えてのことなのだろうが、日本高野連は7イニング制導入の検討に入っているという。私は大反対だ。

　野球というスポーツは力を出し切って迎える8回、9回に筋書きのないドラマが生まれる。最後まで諦めない気持ち、油断が相手に与えるつけ込む隙…。社会に出て荒波を乗り越えていくために一番大事なことを教えてくれる2イニングなんだ。野球は人づくりのスポーツ。人生訓が凝縮されている8、9回を省くなんて、あってはならないと思う。

　もちろん球児の健康は守らなきゃいけない。だからといって7イニング制にするんじゃなくてさ。今行っているアプローチに改良を加えていく形で対処してほしい。

　去年から導入しているクーリングタイム。5回終了時に10分間、体を冷やしたり、水分補給ができる時間を設けている。去年は試合再開直後に熱中症の症状を訴えた選手が少なくなかったことから、今年はクーリングタイム後のアップ時間を1分30秒から3分に延長。着替えられるようにユニホームを2枚配布するようになったという。

　大会中でも状況に応じて柔軟に対応している。午後4時以降に開始する試合は除いていたクーリングタイムを今大会第4日から全ての試合で設けるようになった。第3日までに熱中症とみられる症状があった8人のうち4人が4時以降の試合だったらしい。

　今年は第1日から3日間、朝夕2部制を導入。今回は1日3試合の日だけの実施だったけど、1日4試合の日にもできないかな。その他の改善点も含めてさ。球児、審判、応援団、大会関係者。頑張ってきたみんなでアイデアを出し合えば、きっといい方法が見つかると思う。

　さあ、今年の夏はあと3試合。20日の休養日を挟んであす21日の準決勝は8時と10時35分、さらに1日空けて23日の決勝は10時開始の予定だ。こんなに暑くても、9イニング制でやっていける。そう思わせてくれる激闘、好勝負を期待したいな。（スポニチ本紙評論家・中畑　清）