【スポニチスカウト部(25)花巻東・小松龍一 偉大な先輩を追う最速150キロ本格派右腕

2024年08月20日 06:00

野球

【スポニチスカウト部(25)花巻東・小松龍一 偉大な先輩を追う最速150キロ本格派右腕
夢のメジャーへ!最速150キロを誇る花巻東・小松
 今秋のドラフト候補となる選手にスポットを当てる「スポニチスカウト部」。アマチュア担当記者の独自目線による能力分析とともに、選手の素顔を紹介する。第25回は花巻東(岩手)の最速150キロ右腕・小松龍一投手(3年)。偉大な先輩たちに続く可能性を十分に秘めた本格派右腕は、最後の夏となった甲子園から夢のメジャーを目指す。
 最後の甲子園はわずか2回、33球で終えた。自身2度目の聖地。13日の滋賀学園戦で、小松は自己最速を1キロ更新する150キロをマークした。だが、5安打3失点と本来の調子とは程遠く、初戦で甲子園を去り「ふがいない投球をして申し訳ない」と涙をこらえながら言葉をつないだ。

 とてつもなく苦しい一年だった。昨年は春以降に急成長しエース格として活躍。入学当時138キロだった球速も145キロまで上がり、夏の甲子園でも3試合に登板してベスト8入りに大きく貢献した。「次こそ日本一になる」。力強く誓って最後の一年に臨んだが、選抜へとつながる秋の岩手県大会は初戦敗退。その後、右肩を痛め、今春の岩手県大会前には右足首も痛めた。

 「練習したくてもできない日々がもどかしかった」。復帰後も調子が上がらず、夏の岩手大会は2試合で計5イニングの登板のみ。それでも「今年のうちの注目選手は小松だから」と佐々木洋監督の信頼は揺るがず、甲子園でも背番号「1」を託した。

 試合前には「ここまで信じてくれた監督さんや仲間に応えたい」と吹っ切れたように、意気込みを語っていた。2年連続で立った甲子園のマウンド。初回に150キロを計測も2回に崩れ、直後の攻撃で代打を送られた。ベンチから必死に声援を送ったが、初戦敗退。苦しかったが「悔いはありません」とも言った。野球を始めた頃からの夢はプロ野球選手。進学が濃厚だが「高いレベルでもう一度自分の投球を見つめ直したい」と上のステージでの成長を誓う。名前は「龍のようにどこまでも上り詰めてほしい」との願いが込められた「龍一」。OBのドジャース・大谷、アストロズ・菊池のように、いつかは偉大な先輩たちと同じステージに立つ。(村井 樹)

 ○…花巻東にとって背番号17は大谷や菊池、米スタンフォード大へ進学予定の佐々木麟太郎らが背負った特別な番号。小松も昨夏の甲子園は17を背負っていた。現在は巨人・古城茂幸3軍打撃コーチ(48)の次男・大翔(だいと=1年)が背負う。小松は「1年生だが助けられることも多かった。必ずここに戻ってきてほしい」と頼れる後輩に悲願の全国制覇の夢を託した。

 ☆球歴 小2から崎山ジャイアンツで野球を始め、崎山中では軟式野球部に所属。花巻東では2年春からベンチ入りし、甲子園には2度出場。憧れの選手はドジャース・山本。

 【闘志前面の投球スタイル】普段は寡黙で物静かな小松だが、マウンドに上がるとその姿は一変する。ピンチになると声を上げながら腕を振り、豪快にガッツポーズをすることも。エースの姿がチームに与える影響が大きいことをよく理解しているからこそ、以前は「マウンドでの立ち居振る舞いはこだわっている」と語っていた。

 大舞台での強さは証明済みだ。甲子園で自己最速を1キロ更新する150キロをマークするなどスターになる素質は十分。しかし、身長1メートル78、体重73キロと細身で、佐々木監督も「まだ体の線が細い。ただその分、伸びしろも十分にある」と課題と期待をよく口にしていた。

 大谷、菊池、巨人・西舘…。花巻東からまた一人、楽しみな剛腕が生まれそうだ。 (アマチュア野球担当・村井 樹)

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