【王将戦】棋士の間で筋トレブーム なぜ、体を鍛えるのか 打倒藤井8冠への秘策に?
2024年01月27日 05:00
芸能
「鍛えることで棋力には直接つながりませんが、勝負どころでの胆力を支えてくれます」という。長い対局時間を戦い抜くことはもちろん、秒読みの中での最終盤の駆け引きや、ねじり合った末の千日手指し直しなど。体力と気力が必要な場面も多い。「そんな時の“もう一踏ん張り”が利くようになります」と熱弁した。
早船さんが塾長を務める「Dream AcademiA麻布」では、そんな“もう一踏ん張り”が必要な場面を物理的に作り出すトレーニングを実施している。例えばローイングマシンに乗りながら、トラックを走った後、心拍数の上がった状態で詰将棋などを出題し回答する。「デュアルタスクトレーニング」と呼び、棋力向上の新たなアプローチを展開している。
同アカデミーには中村太地八段(35)や青嶋未来六段(28)、岡部怜央四段(24)が通い、実際に取り組んでいる。中村は2022年からメニューをこなし始め、1年足らずで順位戦A級への初昇級を決めた。昨年から始めた岡部も「頭がクリアな状態で指せていて、苦しくても踏ん張れるようになった」と、効果を実感している。
スポーツ選手も競技の練習以外、他のスポーツのメニューを入れたり、メンタルトレーニングを行うなど、心技体を総合的に鍛えている。常に紙一重の戦いを強いられるのは、将棋も同じ。早船さんは「棋力以外の部分ですが、最後はその少しの差が重要になる。もしかしたら、打倒藤井8冠に通ずる秘策になるかもしれません」と力を込めた。