【王将戦】棋士の間で筋トレブーム なぜ、体を鍛えるのか 打倒藤井8冠への秘策に?

2024年01月27日 05:00

芸能

【王将戦】棋士の間で筋トレブーム なぜ、体を鍛えるのか 打倒藤井8冠への秘策に?
「勝石」の前で記念撮影をする菅井八段(左)、藤井王将(撮影・大城 有生希) Photo By スポニチ
 将棋の藤井聡太王将(21)=8冠=に菅井竜也八段(31)が挑戦する第73期ALSOK杯王将戦(スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社主催)7番勝負の第3局が27日、島根県大田市の「さんべ荘」で行われる。挑戦者の菅井は筋トレが趣味として知られるなど、近年棋士の間で筋トレブームが起きている。なぜ、棋士が体を鍛えるのか。将棋との関係性を、青学大パワーリフティング部主任コーチで、将棋チェスアカデミー「Dream AcademiA麻布」の早船正高塾長(56)に聞いた。
 何時間も座ったまま、ひたすら盤をにらみ続ける。動くことはほぼなく、一見すると体力の消費は少なそうに感じる。だが実際には頭を長時間フル回転させ、時には1局で体重が2キロも落ちると言われるほどハードな競技だ。早船さんは「棋士は頭脳を使うアスリート、“頭脳アスリート”。だからこそ、筋トレが有効的だと思っています」と語った。

 「鍛えることで棋力には直接つながりませんが、勝負どころでの胆力を支えてくれます」という。長い対局時間を戦い抜くことはもちろん、秒読みの中での最終盤の駆け引きや、ねじり合った末の千日手指し直しなど。体力と気力が必要な場面も多い。「そんな時の“もう一踏ん張り”が利くようになります」と熱弁した。

 早船さんが塾長を務める「Dream AcademiA麻布」では、そんな“もう一踏ん張り”が必要な場面を物理的に作り出すトレーニングを実施している。例えばローイングマシンに乗りながら、トラックを走った後、心拍数の上がった状態で詰将棋などを出題し回答する。「デュアルタスクトレーニング」と呼び、棋力向上の新たなアプローチを展開している。

 同アカデミーには中村太地八段(35)や青嶋未来六段(28)、岡部怜央四段(24)が通い、実際に取り組んでいる。中村は2022年からメニューをこなし始め、1年足らずで順位戦A級への初昇級を決めた。昨年から始めた岡部も「頭がクリアな状態で指せていて、苦しくても踏ん張れるようになった」と、効果を実感している。

 スポーツ選手も競技の練習以外、他のスポーツのメニューを入れたり、メンタルトレーニングを行うなど、心技体を総合的に鍛えている。常に紙一重の戦いを強いられるのは、将棋も同じ。早船さんは「棋力以外の部分ですが、最後はその少しの差が重要になる。もしかしたら、打倒藤井8冠に通ずる秘策になるかもしれません」と力を込めた。

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