男子体操団体2大会ぶり金 池谷幸雄氏「こんな大逆転あんまり見たことがない」 “奇跡”起きたワケ
2024年07月30日 18:14
芸能
2種目目のあん馬では、エース橋本がまさかの落下で減点に。つり輪を得意とする中国が点差を広げる中、日本は前半3種目で5位に後退した。最終種目の鉄棒を残し、3・267点という絶望的な点差ながら、中国の2人目の蘇イトクが2度落下するミスもあり大逆転。最後は橋本が好演技を披露してミスを挽回した。
池谷氏は「こんな大逆転はあんまり見たことがない」と振り返った。5種目終了時点での3・267点差も「普通にやれば絶対に順位は変わらないですね。多少の失敗があっても変わらない。3点というのはそれくらい大きいから」とした。また「5種目目で3点(差)というのは、僕もあきらめてましたから」と、本音を口にした。
そんな大逆転が実際に起きたポイントは、2つあったという。まずは中国へのプレッシャー。鉄棒1人目の杉野について「スペシャリストの杉野選手がフル構成で、ちゃんと技も抜かずしっかり入れてバチッと演技した」と解説。その後、中国の1人目が「そんなに技が入ってないんですけど、着地でものすごい乱れが起きた。それもちょっと焦りがあったんだと思う」と推測した。その後、「岡選手がバッチリ完璧に決めてくれるわけですよ」と、中国にさらなる重圧がかかったという。
2人がしっかり決めた日本に対し、1人目の着地ミスでリードを縮められた中国は、蘇の決定的なミス2回という悪夢の展開になった。池谷は「(蘇は鉄棒の)スペシャリストなんですよ?種目別も残っているんですから、自信もあるはずなんですけど、それだけのプレッシャーがあったと思う。初めから調子がおかしかったですから。動きが」と、違和感を覚えたという。
池谷がもう一つ挙げたのが、「勝利への引き算」というキーワードだった。日本の最終演者・橋本の鉄棒の予選、決勝での演技構成を比較。決勝では、予選からC難度も開脚トカチェフ、F難度のアドラー1回ひねりを外し、0・6点少ない合計6・0点の演技構成で挑んだ。「なぜかというと、(日本と中国が)2人、2人が終わった時に、点差が日本の方が勝っていた。0・6くらい勝っていたので、6・0でも行けると踏んだんですね。それよりも完璧さを求めて、Eスコア10点満点から引かれる部分を少なくして、ちゃんと演技をして、最後の着地までと思って、この演技構成にしたことが勝利につながったかな」。リスクを冒さない演技構成に変更したことが、最後の完璧な演技につながったと解説した。