【コラム】戸塚啓
風間八宏氏 C大阪・技術委員長に就任
2020年12月03日 20:30
サッカー
結果が問われるトップチームの監督に、経験や実績を持った指導者が充てられるのは当然だろう。一方で、J1の監督経験者が小中学生年代の指導現場で活躍するのは例外的だ。
子どもたちの指導現場では、現役を終えて間もない世代が中核を担っている。子どもたちと一緒に身体を動かす機会が多いことは、その理由にあげられるだろう。さらに言えば、トップチームと同じような報酬を確保できないことから、指導者としての経験が浅い人材が採用されることもある、と考えられる。
いずれにしても、指導者の流れは「下から上」への一方通行になりがちである。ジュニアユースやユースのスタッフを経てトップチームの監督やコーチに昇格するケースは多いが、その逆は非常に少ない。とりわけ、J1でそれなりの実績を残した監督が、下のカテゴリーへ下りていくのはほとんど見当たらないと言える。
とはいえ、育成の現場の重要性は誰もが理解しているところだ。風間さんのような経験を持った人が関わるのは、それだけに大きな意味がある。
Jリーグの川崎フロンターレと名古屋グランパスで監督を務めてきた風間さんは、日本人選手が得意とするところ、苦手にしているところを、肌で感じてきたはずだ。Jリーグで采配をふるう以前は、大学サッカーで監督を務めていた。プロ入り前に身に着けてほしい個人戦術や技術が、風間さんのなかでは整理できていると思う。育成や普及などのアカデミー組織をまとめる技術委員長という立場で、これまで培ってきた知見を生かすことができるだろう。
国際舞台における日本代表の戦いを論じると、突き詰めれば育成年代へ行き着く課題は少なくない。セレッソと風間さんのような関係が、他クラブにも広がっていくこと期待したい。(戸塚啓=スポーツライター)