【コラム】戸塚啓
井手口 スペイン2部すぐに結果を求められるが
2018年01月11日 06:00
サッカー
クルトゥラル・レオネサのメンバーを見ると、30代の選手はふたりしかいない。年齢のボリュームゾーンは25歳から27歳あたりだ。21歳の井手口はチーム最年少で、96年生まれの“同級生”もふたりいる。
外国人選手はオランダ人とポルトガル人がひとり、アルゼンチン人とカタール人がふたりずつ所属している。カタール人選手がいるのは、クラブのチェアマンがカタール人だからだろう。
リーグ戦の上位を走っているチームではないだけに、井手口がピッチに立つチャンスは十分にあるはずだ。そもそも彼のポジションは、試合中の交代が多い。逃げ切りをはかりたい時間帯や中盤を活性化したい局面で、井手口のボール奪取力と運動量は有効なオプションに成り得る。まずは途中出場で監督の信頼を勝ち取り、スタメンへ昇格して定位置をつかむ、といったシナリオを描くのは難しくない。
冬の移籍で加入しただけに、チームからは即戦力として期待されているところがあるだろう。井出口自身の気持ちも前のめりに違いないが、Jリーグはプレシーズンの時期だ。18年シーズンのJリーグが開幕する2月下旬を目途に、新しい環境に慣れていくという考えでもいい。
スペイン2部は全42試合の長丁場で、レギュラーシーズンは6月3日まで組まれている。たとえば2月25日の28節から出場したとしても、最大で15試合に出場できる。
ロシアW杯の代表メンバーに選ばれれば、レギュラーシーズン終了を待たずにチームを離れることになる。それでも、W杯への助走として十分な試合をこなすことができるはずだ。
日本代表の世代交代を進めた彼には、ロシアW杯だけでなくW杯後の日本を支えていくひとりとしても期待が寄せられる。それだけに、新天地でもすぐに結果を求められていくが、シーズンまっただ中の移籍であり、スペイン2部はウインターブレイクもない。慌てずに一歩ずつ、前進をしていけばいいと思うのだ。(戸塚啓=スポーツライター)