【コラム】戸塚啓
オールジャパン 監督やコーチの人材交流
2018年11月08日 14:00
サッカー
むしろ目を引いたのはスタッフだ。森保一監督を支える人材として、斉藤俊秀コーチ、秋葉忠宏コーチが加わっているのだ。
今月16日にベネズエラと、同20日にキルギスと対戦する日本代表の活動とほぼ同時期に、U−21日本代表がUAEへ遠征する。このため、日本代表の横内昭展コーチがU−21日本代表の監督代行を務めることになった。それに伴って、斉藤、秋葉両コーチが日本代表をサポートすることになったのである。
斉藤コーチはU−16日本代表の、秋葉コーチはU−19日本代表のスタッフである。どちらも選手、指導者として世界大会を経験しており、来年開催の年齢別W杯のアジア予選を突破したばかりだ。貴重な経験を積んでいる。森保監督と選手をつなぐ立場としてだけでなく、彼らが選手に伝えられることも間違いなくあるだろう。
日本代表をはじめとする各カテゴリーの代表スタッフは、定期的に集まってミーティングを開いている。世代をこえて日本サッカーの方向性を共有していくためだが、指導の現場での人材交流は限られていた。その大きな障壁となっていたのは、日本代表の監督が外国人だったことだろう。
ロシアW杯を前に当時のヴァイッド・ハリルホジッチ監督が解任され、西野朗監督のもとで体制が一新されると、「オールジャパン」との表現が使われた。日本人でスタッフが固められたことによるものだが、U−16やU−19のスタッフが登用されたことで、「オールジャパン」の色合いはさらに強くなった。
秋葉コーチはリオ五輪代表でコーチを務めており、遠藤航、山中亮輔、中島翔哉、南野拓実、室屋成、三浦弦太、三竿健斗らは当時のメンバーだ。年齢別代表に関わった監督やコーチは、日本代表選手を以前から知っていることが多い。既知の間柄なので、関係成立に時間がかからない。その意味でも、世代を越えた人材交流には無理がないのだ。
U−16やU−19の選手たちにとっても、斉藤コーチや秋葉コーチの代表スタッフ入りはプラスに働くはずだ。日本代表というチームの雰囲気や海外組のメンタリティなどを、より身近な存在から伝えられる意味は大きい。
今回のコーチングスタッフの編成は、日本代表とU−16、U−19の活動が重ならなかったことによるものだろう。今後も同じように対応できるとは限らないが、監督やコーチの人材交流は進めていくべきだ。それこそが、真の意味での「オールジャパン」だろう。(戸塚啓=スポーツライター)