“松山超え”蝉川、日本OP95年ぶりアマ戴冠 完全制覇で史上初のツアー2勝目
2022年10月24日 04:25
ゴルフ
「勝つことを目標にした試合で勝ち切れたのは本当にうれしい。松山(英樹)さんでも(アマチュア)2勝はしていないので、“自分、やるな”と思いました」
あの松山もできなかった95年ぶりの大会アマチュアVと史上初のアマチュアのツアー2勝目の偉業を成し遂げた。しかし、その道中は険しかった。1番から連続バーディーで8打差までリードを広げながら9番でグリーン奥の深いラフにつかまり2度も空振り。まさかのトリプルボギーを叩き、一気に2位の比嘉に4打差まで縮められた。
それでも「攻めて魅せるゴルフをしないとお客さんが離れてしまう」と気持ちを奮い立たせ、最後は2打差を守って逃げ切った。
気持ちの強さがセールスポイントだが、9月の世界アマチュアチーム選手権の個人戦で5打差をひっくり返され2位に終わった時はショックで落ち込んだ。父・佳明さん(61)に国際電話で「こんなつらい思いをするならゴルフやめようかな。普通に就職しようかな」と漏らした。悩んで円形脱毛症にもなったというが、切り替えの早さもその勝負強さの源だ。「あの子は叩かれて、叩かれて強くなってきた。急にゴルフがうまくなったわけではないんです」と佳明さん。蝉川自身も「(踏まれて強くなる)雑草魂でここまできました」と笑った。
将来の夢は海外の4大メジャーを全て制することだ。「30歳までは日本でプレーして、それから海外に行きたい」とプランを明かす。ただの大風呂敷に聞こえないところが蝉川の魅力。「見ていて面白い、凄いと思われる、タイガー・ウッズのような選手になりたい」。その視線の先には無限の可能性が広がっている。
◇蝉川 泰果(せみかわ・たいが)2001年(平13)1月11日生まれ、兵庫県加東市出身の21歳。プラスチックのクラブで1歳からゴルフを始める。大阪・興国高を経て東北福祉大。同大では主将。6月の下部ツアーで史上5人目のアマチュア優勝。9月のパナソニック・オープンで史上6人目のアマチュア優勝。世界アマチュアランク1位。得意クラブは1W。1メートル77、75キロ。
▽赤星六郎 1901年(明34)生まれ、44年(昭19)没。鹿児島県出身。実業家、ゴルフ場設計家。米プリンストン大留学時代にゴルフを始める。帰国後にアマチュア選手として活躍。その後、英国のゴルフ場設計家のチャールズ・ヒュー・アリソン氏に師事し我孫子GCや相模CCの設計を行った。27年第1回日本オープンでは2位のプロ、浅見緑蔵に10打差をつけて優勝。ただ当時はアマの力が圧倒的で出場選手もアマ12人に対しプロ5人とプロは少数派だった。第1回大会で4位だった兄・四郎も日本アマ優勝2回などアマチュア選手として活躍した。
▽1927年(昭2)の世相 金融恐慌の中、不安を抱えながらも若者のファッション「モボ・モガ」が流行。前年12月の大正天皇崩御を受け、2月に大喪儀。7月に小説家・芥川龍之介が35歳で死去。8月には第1回都市対抗野球が開催され、サッカーでは日本代表が国際Aマッチ初勝利。12月に日本最初の地下鉄・銀座線が開通した。海外では米国でリンドバーグが大西洋の単独無着陸飛行に成功。ベーブ・ルースが初の60本塁打を放った。
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