泉谷 パリ五輪へ課題と収穫 110メートル障害で日本勢初の5位入賞
2023年08月23日 04:44
陸上
1組1着で準決勝を通過し、わずか95分後に訪れた最高峰の舞台。想定外の事態が起こった。号砲と同時にスターティングブロックを蹴った瞬間「両足ふくらはぎをつった。焦りまくった」。腿に貼っていたゼッケンが左手にくっつくハプニングもあった。「ふくらはぎと足首を固める」イメージで力を振り絞り、終盤はハードルにぶつけながら「記憶がない。これ以上つらないように我慢していた」。夢中で駆け抜け「楽しい気持ちでいっぱい」と振り返った。
一切の甘えを捨て、この舞台に懸けてきた。今季から味の素ナショナルトレーニングセンターを拠点に置く。以前は感覚で跳んでいたハードリングの練習も、自身の靴8足分に当たるハードル手前2メートル20にマーキングを設置。細部にこだわった。栄養バランスの良い昼食を取り、自宅では朝夕に「豚汁を鶏肉に代えた鶏汁」を作って苦手な野菜も食べた。高校時代は混成競技で日本一を誇った才能が、さらに磨かれた。
心理的な障害も乗り越えた。1メートル75と小柄な泉谷は昨年まで屈強な海外勢を見て萎縮していたが、日本記録を出した6月の日本選手権後は欧州で武者修行を敢行。最高峰のダイヤモンドリーグを2戦転戦し、その会場でライバルたちを見て実感した。「去年よりあまり速くないな。もしかしたら自分の方が速いんじゃないか」。国際舞台の場数を踏み、自信も深めた。
0秒03差で散った東京五輪、昨年のオレゴン大会の準決勝敗退を経て、三度目の正直でたどり着いた決勝。「メダルは近いようで遠い。トップ選手は本番に強いと改めて感じた」という一方で「自分の力を出し切れれば、もしかしたらあると思っている」と糸口も見えた。確かな収穫を胸に、来夏へ再出発する。
▽パリ五輪への道 トラック&フィールド種目は既に有効期間に入った五輪参加標準記録突破が(〓/)最初の条件。その上で(1)今大会3位以内の日本人最上位は代表に即決定(2)今大会8位以内入賞者で日本人最上位は、24年1~6月の期間にもう1度参加標準を突破すれば内定(男女5000、1万メートルは23年11月から)。(1)(2)で該当者がいない場合は来年の日本選手権の結果を基に選考する。泉谷は参加標準記録13秒27を突破しており(2)に当たる。
◇泉谷 駿介(いずみや しゅんすけ)
☆生まれとサイズ 2000年(平12)1月26日生まれ、横浜市出身の23歳。1メートル75、69キロ。
☆競技歴 小学校で取り組んだサッカーが好きになれず中学から陸上を始め、当時は主に走り高跳び。武相高で才能が開花し、3年時に八種競技で全国高校総体優勝。三段跳びも3位入賞。順大から110メートル障害に専念。
☆万能型 専門の110メートル障害で日本記録の13秒04を持つだけでなく、100メートル10秒37、走り幅跳び8メートル00、三段跳び16メートル08と驚異的なスピードとバネの持ち主。
☆泉谷の1ミリ 指導する山崎一彦コーチはハードル間の刻み方を「世界一のインターバル」と表現。スピードを加減する「アクセルワーク」が抜群で、ハードリング技術も「1ミリ単位で調整できると思いますよ!」
☆ルーティン 大好きなコーヒーを試合1週間前から抜き、勝負の日の朝に再びチャージ。6月の日本選手権でも同じルーティンで日本記録を樹立し、今大会も準決、決勝の21日にカフェイン注入。
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