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涙の終戦…大阪桐蔭・前田 「皆がおるやん」欠点気づかせてくれたナインに、最後は心の強さ見せた

2023年07月31日 04:00

野球

涙の終戦…大阪桐蔭・前田 「皆がおるやん」欠点気づかせてくれたナインに、最後は心の強さ見せた
大阪大会決勝<大阪桐蔭・履正社> 履正社に敗れ、目元を押さえる大阪桐蔭・前田(左) (撮影・須田 麻祐子)  Photo By スポニチ
 【第105回全国高校野球選手権大阪大会決勝   大阪桐蔭0-3履正社 ( 2023年7月30日    大阪シティ信用金庫スタジアム )】 大阪桐蔭は12年から7連勝中だった夏の大阪大会決勝に敗れ、大会記録に並ぶ3連覇と6季連続の甲子園出場に届かなかった。今秋ドラフト1位候補の前田悠伍投手(3年)が8回3失点で降板し、打線も3安打で振るわず、公式戦では実に8年ぶりの零敗に沈んだ。
 前田は履正社の校歌を聞きながら、ベンチ前で目頭を押さえた。8回3失点(自責2)と本領を発揮できずに終わった無念の涙だった。プロ球団スカウトのスピードガンで最速143キロ止まりで、4与四死球と武器である制球も不安定だった。1年秋から過去4戦4勝だった履正社に初めて敗れ、「気持ちが高ぶってリリースポイントがずれてしまっていた。悔しいの一言です」と唇をかんだ。

 「日本一のチームで野球をしたい」と小学生の頃から大阪桐蔭に入ることが夢だった。小4で夏の甲子園を初観戦し、「大阪桐蔭」と書かれたペンを買って帰った。同校が勝てばテレビの前で選手と一緒に校歌を歌った。小6時にオリックスジュニアに選出されて同僚になった南川幸輝とは「一緒に大阪桐蔭に行こう」と約束した。その南川と最後の夏にバッテリーを組んだ。

 中学で所属した湖北ボーイズでは、入団直後に「日本一になりたいので、僕を大阪桐蔭に入れてください」と加納得太郎会長に頼み込んだ。高校最後の夏は甲子園に届かなかったとはいえ、2年春に選抜優勝をかなえた。

 初めて主将にも抜てきされた。昨秋に味方の失策から集中力を欠いたとき、中堅手の長沢元(3年)から声をかけられた。「1人でやっているわけではないで。マウンドから後ろを見てみ。皆がおるやん」。決勝で味方が3失策しても動じない心の強さも身についた。進路については「まだ分からないですけど、上を目指して取り組みたいです」と話すにとどめた。4回戦で左手親指の皮がめくれ、今夏の登板は2試合のみ。鮮烈な印象を残す前に最後の夏が終わった。 (河合 洋介)

 ◇前田 悠伍(まえだ・ゆうご)2005年(平17)8月4日生まれ、滋賀県長浜市出身の17歳。古保利小2年から高月野球スポーツ少年団で野球を始め、6年時にオリックスJr.選出。高月中では湖北ボーイズに所属。1年時にカル・リプケン12歳以下世界少年野球日本代表として世界一。大阪桐蔭では1年秋からベンチ入りし、2年秋からエース。2年時の春夏に甲子園出場で春優勝。明治神宮大会は2連覇。1メートル80、78キロ。左投げ左打ち。

【データ】
 ○…大阪桐蔭が3年連続の夏の甲子園出場を逃した。今夏は00年以降で夏10度以上出場している横浜(神奈川)、智弁和歌山(和歌山)、明徳義塾(高知)が地方大会で敗退。前記4校が全て地方大会で敗退したのは95年以来28年ぶり。
 ○…大阪桐蔭が公式戦で零敗を喫するのは、15年選抜の準決勝・敦賀気比戦(●0―11)以来。大阪大会では10年春季準々決勝・履正社戦(●0―3)以来で、「夏の大阪大会」に限ると1990年5回戦・北陽戦(●0―5)以来33年ぶり2度目。また、今回の敗戦で12年から22年まで続いていた大阪大会決勝での連勝は7で止まった。

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