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ミラクル共栄学園 準決勝に続き9回2死から劇的逆転で甲子園初切符!

2023年07月31日 05:30

野球

ミラクル共栄学園 準決勝に続き9回2死から劇的逆転で甲子園初切符!
<東亜学園・共栄学園>優勝を果たし、スタンドへ駆け出す共栄学園ナイン(撮影・木村 揚輔) Photo By スポニチ
 【第105回全国高校野球選手権東東京大会決勝   共栄学園12-6東亜学園 ( 2023年7月30日    神宮 )】 大トリはミラクル共栄だ。第105回全国高校野球選手権(8月6日開幕、甲子園)の出場を懸けた地方大会は30日、2大会で決勝が行われ、東東京大会は共栄学園が東亜学園を破って春夏通じて初の甲子園出場を決めた。サヨナラ勝ちした準決勝に続き、9回2死から逆転する奇跡を起こした。大阪大会は履正社が大阪桐蔭を破り、全49代表が出そろった。組み合わせ抽選会は8月3日に大阪市内で行われる。
 誰が予想しただろうか。1点を追う9回2死一、二塁。アウトになれば、甲子園初出場の夢はついえる。絶体絶命の場面。初球が来た瞬間、打野(うちの)琉生(3年)はバットを下げた。まさかのセーフティーバントだ。白球が深く守る三塁手の前へ転がった。

 「三塁手が下がっていた。絶対に決められる自信があった」。自らの判断で意表を突き、「自分がセーフになれば何かが起こる」と一塁にヘッドスライディング。「何か」が起きた。一塁はセーフとなり、悪送球も誘った(記録は安打と失策)。二塁走者が一気に本塁へ突入。バックアップした二塁手の送球より、ヘッドスライディングした二塁走者の生還が早かった。原田健輔監督でさえ「今日こそはもうダメかも…」と諦めかけた土壇場の同点劇に歓声、悲鳴、どよめきが一体となって神宮球場を包んだ。

 打野は途中出場だった。1メートル58の小柄な控え選手の勇気ある奇策で振り出しに戻ったシーソーゲーム。初戦から「采配、戦術が全部外れていた」と言う原田監督も打野に背中を押され、腹をくくる。

 「イチかバチか」。なおも2死一、三塁、1ストライクから出したサインは重盗。再びの奇策だ。捕手から二塁へ送球される間に三塁走者・斉藤開心(3年)が決勝のホームを駆け抜ける。岩倉との準決勝でも2点を追う9回2死から逆転サヨナラ勝ち。小飛球で三塁手の落球を誘ったラッキーボーイの斉藤が今度は本盗を決めた。原田監督はベンチを飛び出し、叫び、拳を突き上げた。勢いは止まらず、集中打で一挙7得点。春夏通じて初めての甲子園出場をドラマチックに決めた。

 昨秋は初戦の1次予選で敗退し、その悔しさを胸に挑んだ夏。一気に勝ち上がり同校初の決勝で2試合連続のミラクルを起こした。浦和学院で投手としてプレーし、12年に監督に就任した37歳の指揮官はこう言った。「本当に素晴らしい選手たちと巡り合えた」。準決勝で見せた涙はなく、歓喜のナインを照らす太陽のように笑顔が輝き続けた。

 「野球は9回2アウトから」――。最後まで諦めなければ、奇跡は起こせる。49校目、最後の代表となった共栄学園ナインが、野球の格言を思い出させた。(柳内 遼平)

 ▽共栄学園 1938年(昭13)創立の中高一貫の私立校。前身は本田裁縫女学校で47年に学制改革に伴い「共栄学園中学・高等学校」を設置。2003年に男女共学となった。野球部は現在62人(他に男子マネジャー3人)。専用グラウンドはなく、江戸川区内の河川敷を週に2度借りて練習。女子バレーボールが強豪で95、05年の春の高校バレーで優勝。校訓は「清明・誠実・創造」。所在地は東京都葛飾区お花茶屋2の6の1。御宿重夫校長。

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