阪神に牛乳ブーム到来? 熱波ニッポン、熱中症対策の最新事情

2023年07月31日 11:30

野球

阪神に牛乳ブーム到来? 熱波ニッポン、熱中症対策の最新事情
阪神・前川 Photo By スポニチ
 阪神に牛乳ブーム到来の予感だ。夏到来を前に、寮に住む若手選手を中心に「熱中症セミナー」が行われた。そこで、牛乳が予防に効果的な食材として紹介された。1軍で奮闘を続ける前川は、1日に瓶1本分を飲む生活を継続している。
 このセミナーの講師で、阪神で栄養指導を担当する公認スポーツ栄養士の吉谷佳代さんによれば、近年、牛乳が熱中症予防になるとして脚光を浴びているという。水分補給をできるだけでなく、牛乳に豊富に含まれるタンパク質の働きによって、体内の水分の流出を抑制し、脱水症状を防ぐ効果が期待されるそうだ。給食で毎日のように口にしていたものに、そんなパワーがあるとは。また、塩分と水分を手軽に取れるとして、朝食のみそ汁を勧めてくれた。

 連日、うだるような暑さが続く。屈強なプロでさえも、パフォーマンス低下を招きかねない過酷な気候なのだから、炎天下のもとで練習、試合をする野球少年少女への体への負担はいかほどか。我が子の体を心配する親は、全国にたくさんいるのではないか。水分、休憩だけでは不十分。より具体的な対策が不可欠だ。

 この数年、少年野球の現場を指導者として見てきた当方としては、「暑さは気合いで乗り切れる」と口にするアマチュアの指導者は、日本各地に存在すると推測している。もちろん、気合いや根性はとても大事だが、残念ながら、ガッツだけでは脱水症状を防ぐことはできない。

 パオロ・マッツァリーノ著<「昔はよかった」病>には、明治時代、大正時代の軍隊や学校現場での熱中症の様子が取り上げられている。そのたびに「鍛錬が足りない」という精神論が世間に起こったことも紹介されている。今よりも涼しい上に、生きることに根性が必要とされた時代の人々であっても暑さにやられたという事実は、ハートの強さだけでは、熱中症に対処できないことを物語っている。

 科学が進んだ今、脳や臓器の温度「深部体温」を下げることが、熱中症の特効薬になることがわかっている。「深部体温」は手のひら、足裏、のどと密接な関係がある。手のひら、足裏は流水や冷たいペットボトルなどで冷やし、のどはシャーベット状のものや氷を口に含むことで「効果を得られる」と、吉谷さんは教えてくれた。

 試合や練習の前後、間に取り組めば、熱中症予防どころか、持っている力を発揮することにもつながる。早くから「深部体温」に着目していた陸上・競歩勢が、東京五輪を含めた近年の世界大会で活躍していることを考えると、科学の知見は素直に取り入れた方がいいと感じる。

 牛乳にしてもみそ汁にしても万能ではないかもしれない。でも、指をくわえているよりははるかにマシだ。まずは対策。気合いや根性が必要になるのは、その後だ。(阪神担当・倉世古 洋平)

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