制球力の大切さをを痛感した慶大の完全優勝

2023年11月01日 13:34

野球

制球力の大切さをを痛感した慶大の完全優勝
慶大・外丸 Photo By スポニチ
 東京六大学野球は慶大が明大の4連覇を阻止し4季ぶり40度目の優勝を飾った。
 豊富な戦力とは言いがたい中、堀井哲也監督の勝つためのチーム作り、ベンチにいる控え部員も一丸となって相手と戦う姿勢は見事というほかない。その中でも、今季の慶大投手の制球力の良さは抜群だった。制球力、特にどの変化球でもストライクが取れる投球術。ベストナインを獲得したエース外丸東眞(2年=前橋育英)、1年生ながら早慶2回戦で先発して6回を零封した竹内丈(桐蔭学園)の2人は改めて“スピードより制球力”を示した。

 外丸のストレートは140キロ前半。竹内は130キロ後半なのだ。いまや高校生でも150キロをマークする時代でも慶大はスピードを追い求めず無い物ねだりはしない。これは21年12月に就任した中根慎一郎助監督の方針だ。現役時代に投手として活躍した同氏はオープン戦での投球をアナリスト(データ班)に細かく分析してもらい、初球ストライクのときの被打率、打者有利のときの被打率などあらゆるケースのデータを集め投手に提示。明らかに初球からストライク先行の被打率は低いため、練習から「初球からストライク」を徹底させた。それも変化球を中心に低めに集める。竹内は「ファーストストライクの大事さは常々言われている」と話す。そのため「初球のストライクをホームランされても全然OKなんです」(中根助監督)と投手の怖さを取り除いている。
 
 早慶3回戦の外丸は5回まで打者18人に対し、2球目までに必ずストライクを取っている。6回になって初めて2ボールになった。2回戦に先発した竹内も6回、打者21人に対し2―0になった打者は1人だけだった。竹内は高校時代は控え投手で、慶大に入学して変化球の制球を磨いて先発の一角に入ったのだから立派だ。

 他校には150キロを超えるスピードを誇る投手は何人もいる。プロというカテゴリーにとっては球速は大事だが、慶大はそれより勝てる投手、試合を作れる投手に舵を切った。

 もちろん三冠王を獲得した栗林泰三(4年=桐蔭学園)や通算20本塁打を放ちソフトバンクから3位指名を受けた広瀨隆太(同=慶応)ら打線の援護はあったが、投手の踏ん張りが完全優勝の原動力となった。球速より制球力。慶大の戦いを見て、野球という競技の原点を見た思いだった。(落合 紳哉)

 ≪今年の東都投手は球速&制球力兼備で1位指名多数≫今年のドラフトでは東都大学野球の投手の多くが1位指名を受けた。それは青学大の常広(広島)に代表されるように150キロを超える球速を持ちながら制球力もある点だ。草加(亜大―中日)西舘勇(中大―巨人)下村(青学大―阪神)武内(国学大―西武)も同様で、スカウトからすれば即戦力として評価が高かった。158キロを記録し入札指名が予想された細野(東洋大)は日本ハムが抽選を2度外してからの1位指名となった。突然制球を乱し、球数の多さが入札1位につながらなかったようだ。

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