【内田雅也の追球】キャンプ初日に見えた日本一の自覚 岡田監督の「予言」を思い返した

2024年02月02日 08:00

野球

【内田雅也の追球】キャンプ初日に見えた日本一の自覚 岡田監督の「予言」を思い返した
宜野座の空にたなびくチャンピオンフラッグ(撮影・大森 寛明) Photo By スポニチ
 午前8時半に阪神キャンプ地の沖縄・宜野座村野球場に着いた。キャンプ初日、前年度日本一チームとあっては普段より多くの報道陣が詰めかけるだろうと、早めに恩納村の泊まり先を出た。ところが報道陣用駐車場はすでにほぼ満杯。警備員が「残り3台だけです」と驚いていた。
 球場に行くと、さらに驚いた。ごくわずかのベテラン――と言ってもまだ若いが――を除き、ほぼ全員が到着し、ドーム内で体を動かしていた。

 早出練習に指名を受けていたのは守備の小幡竜平と打撃の井上広大、前川右京、野口恭佑の4人で、8時10分には練習を始めていた。残る36人の全体練習開始(この日はセレモニー)は10時なのだが、1時間半も前に顔をそろえていたわけだ。

 予定では早出以外の通常組のホテル出発は8時50分で、球場入りは9時20~30分ごろ。1時間も早い球場入りである。

 球団本部の馬場哲也に聞くと「選手たちが集まるのが早いのです。早く集まれば、そのままバスは出発しますから」と話した。ホテルの朝食も午前7時開始を6時半に早めてもらった。選手の出発が早いため、球場警備員の出勤も早めてもらったそうだ。

 近年、キャンプの朝は早くなる傾向にある。「アーリーワーク」と称して早出の特打や特守も日常化している。朝の早い大リーグのキャンプにならったのではないか、との見方もある。

 ただ、ほぼ全員が開始予定の1時間半も前に球場入りしている光景は異例だろう。

 監督・岡田彰布が話していた「優勝すれば態度や行動が変わってくる」という予言を思い返した。日本一の自覚である。

 <心が変われば行動が変わる/行動が変われば習慣が変わる/習慣が変われば人格が変わる/人格が変われば運命が変わる/運命が変われば人生が変わる>

 野村克也がヤクルトや阪神監督時代に、山下智茂が星稜高監督時代に選手たちに言い聞かせていた。もとは19世紀、スイスの哲学者アンリ・アミエルの『アミエルの日記』(岩波文庫)にある。

 キャンプ初日を見終えた岡田は「オレが何か言うと“そんなこと分かってます”いう顔をしている」と選手たちを頼もしくみていた。センターポールにひるがえったチャンピオンフラッグに「誇りをもって練習しよう」と誓った。 =敬称略=
 (編集委員)

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