R―1決勝アマ芸人「どくさいスイッチ企画」 本人衝撃の大トリ「私はプロの後のボーナストラック」

2024年03月05日 18:17

芸能

R―1決勝アマ芸人「どくさいスイッチ企画」 本人衝撃の大トリ「私はプロの後のボーナストラック」
ネタ順を決めるくじ引きをするどくさいスイッチ企画(右)
 【どくさいスイッチ企画インタビュー(2)】
 ―お笑いに目覚められたときを振り返っていただければと思うのですが。

 「家族の話で恐縮ですが、うちの父親は厳格な人だったんですけど、その父が03年のM―1で笑い飯さんのネタ“奈良県立歴史博物館”を見て、ウケすぎて過呼吸を起こしたんです。その光景を見てお笑いってこんなにすごいんだ、と思ったのが一番のきっかけですね。けいれんしている父親を見てお笑いをやりたくなりました(笑い)」

 ―大学では落研に入られるんですよね。

 「本当は漫才をしたかったんですけど、当時はお笑いサークルが全然なくて。入るとなると落研しかなかったんです。でも、結果的には良かったのかもしれません。落語はけっこう趣味で続けている人が多くて、社会人落語の会もあるので、そういう所に出入りさせてもらって、趣味で落語をやりながら生活していくのが普通にできますから。大学卒業後は社会人としてやりながら、創作落語の台本の賞とかもあるし、そういう台本をプロにやってもらえるような機会もあるので、そういうところに応募するということも続けていました」

 ―落語畑だったのに、ピン芸に舵を切ったのはいつ頃なのですか?

 「それはもう、コロナですね。素人の落語会ができなくなったんですよ。落語会は基本的におじいさん、おばあさんを1カ所に集めて見せる会なので、一番ダメじゃないですか(笑い)。落語はしばらくできないけど、でも人前に出たいというのもあって、どうしようかなとなった時にコントがあるなと思って。そっちをやり始めたという感じです」

 ―反応はどうでしたか?

 「コント経験がない割には見てもらえたという感じですが、試行錯誤はしていました。今はサラリーマンの格好で小道具とかも使わないですけど、最初の方は衣装も買ったり、小道具も使ったり、フリップも自分で作ったりしてたんです。でも、準備万端でスベると立ち直れないんです(笑い)。かけた費用のこととか時間のことも考えてしまって。あと、会社帰りにライブに行ったりするので、その時に道具が多いと移動が大変で(笑い)。どんどん道具を使わなくなって今に至るという感じですね」

 ―最近のピン芸の方々は小道具を使われる方が多くなっているので、原点回帰な所が、ある意味新鮮に感じられました。

 「ありがとうございます。落語から来ているので、できるだけ道具を使わないところから始まっているというのはあるかもしれないです。落語は基本、扇子と手ぬぐいだけですから」

 ―だけど、長く落語をされていたのに、その順応力は大したものですよね。

 「ここ最近、有名なお笑いコンテストが増えたせいか、アマチュアのイベントや大会が増えたんです。そういうところにも色々出させていただいて教わりました。創作落語とはまた違う、コントのやり方ですね。こうやってまとめればウケるんだとか、こういうお客さんが来るんだとか、色々勉強させていただきました」

 ―その集大成とも言える今回の決勝進出ですが、くじ引きで大トリを引いてしまいましたね(笑い)。

 「実は1回戦がAブロックのトップバッターだったんです」

 ―すごい!持ってますね。

 「いやいや、自分のくじ運の悪さにほとほとあきれています。ただ、プロの方8人がネタをした後なので、ボーナストラックとして見ていただけたら幸いです」

 ―ボーナストラック(笑い)!でも、ボーナストラックから名曲になったケースもありますから(笑い)。ぜひ最終決戦にまで上り詰めて本当のトリを務めていただくことを期待しております

 「結果はどうあれ、全力は尽くします!!」

 ◇どくさいスイッチ企画(どくさいすいっちきかく)1987年(昭62)9月8日生まれ、神奈川県出身の36歳。小学校5年の時に兵庫県へ。大学で落語研究会に入り、本格的にお笑い活動を行う。R―1では22、23年に出場しいずれも準々決勝で敗退。昨年全日本アマチュア芸人No.1決定戦で優勝。ネタは標準語。関西弁も話せるが、最初に覚えたのが標準語で「関西の方はイントネーションに厳しいので」と若干のコンプレックスも。

 【話を終えて】実はこのインタビューの直後に、関西テレビのR―1特集で、決勝直後のコメント録りを見た。多くは語っていなかったが、涙に暮れてほぼ言葉になっていなかった様子を見て、会社員をしながらの活動はとんでもなく大変だったことをうかがい知れた。

 YouTubeでのネタを見ても、その発想力と構成力はアマチュアのレベルをはるかに超えている。だからこそ、自分の本当の立ち位置への迷いや悩みが尽きなかったのかもしれない。決勝はそんな思いを解き放つ舞台になってくれるのだろうか?それとも、また新しい悩みのタネになるのか?とにかく、ここまで来たら何も捨てるものはない身。衝撃の「ボーナストラック」を聞かせてほしい。(江良 真)=おわり=

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