糖質疲労の予防法 糖質控えめ、タンパク質&脂質マシマシ 食後うとうとの原因かも?
2024年03月15日 05:00
芸能
山田先生、糖質疲労とはどのようなものでしょうか?
「食後高血糖になり、血糖値スパイクが生じることで、眠気、疲労感、集中力の欠如、イライラを感じる状態。私がこれまで多くの方に接してきて気づいた概念です」
血糖値スパイクという言葉は、最近よく聞きます。
「食後に急激に上がった血糖値は分泌されたインスリンによって、今度は急降下します。この乱高下が血糖値スパイクです」
ではこの血糖値スパイクを起こさなければ予防になるんですね?
「そうです。私は“毎食の食べ方を変えること”を提案しています。糖質は控え、その分、タンパク質と脂質をおなかいっぱい食べる。糖質は食事の後半に食べる。“ロカボ”と呼んでいる食べ方です。糖質量は、1回の食事で20~40グラム、間食・デザートとして10グラムを足して、1日70~130グラム以内に収めます」
毎食タンパク質ですか。朝はフルーツだけという方も多いです。健康的じゃないんですか?
「スムージーだけという方もいらっしゃいますよね。でも果物には果糖が含まれていますし、野菜ジュースも糖質が多い。むしろ、お肉の塊が入ったポトフにオリーブオイルをかけた朝食をお勧めします。野菜を取るならばサラダで、マヨネーズかノンオイルではないドレッシングをかけてください」
脂質も積極的に取るってことですか?
「タンパク質や脂質を取ると“インクレチン”というホルモンが分泌されます。インクレチンには血糖値上昇を抑える作用があります」
忙しいお昼時は、コンビニのおにぎりか、立ち食いそばですます方も多いと思うんですが。
「かつて私もそうでした。午後の外来診察で眠気を感じることがありました。糖質疲労の予防にはタンパク質と脂質を取ることが重要ですから、おにぎりよりはハンバーガー。パティを2枚にしてもいいでしょう。そばも、とろろそばにすれば健康的とお考えになると思いますが、糖質の塊。チャーシューなど具材がたっぷりのった二郎系ラーメンの方がいいのです」
これは意外です。勇気づけられたお父さんも多いでしょう。
高齢になると、肉をあまり食べなくなる方もいます。
「タンパク質は、高齢者にこそ取ってほしい栄養素です。タンパク質は摂取するだけで筋肉合成のスイッチが入ります。食べるだけで“筋トレ”になるということです。お孫さんに、ご自身のお皿のお肉をあげるなんてことはせずに、むしろお孫さんのお肉を奪ってでも食べていただきたいです」
ほかに、高齢者と糖質疲労の関係はありますか?
「糖質疲労は認知症のリスクを上昇させると考えられます。食後血糖値の変動が大きいと、認知機能が低いというデータが存在します。アルツハイマー型認知症は脳内にアミロイドβという物質がたまることが原因と言われますが、このアミロイドβの除去には、インスリンの処理にも使われる“インスリン分解酵素”が必要になります。インスリン分解酵素が、高血糖のため分泌されるインスリンの対応に追われると、アミロイドβの処理にまで手が回らなくなるからです」
会社はリタイアしたから昼下がりに眠くなってもいい、というわけではないんですね。
「糖質疲労は骨も弱くする可能性があります。高血糖による体の糖化は骨を形成するコラーゲンを変性させます。ちょっとしたことで骨折する糖尿病患者さんが多いのはこのためです」
もちろん糖質も取らないわけにはいきませんが、食べる量が問題なのですね。山田先生は「ロカボ」の一つとして、ご飯などの主食を最後に食べる「カーボラスト」も推奨しています。食事は糖質疲労を意識して。新年度ももうすぐ。疲れてなんかいられませんよ!
◇生島 ヒロシ(いくしま・ひろし)1950年(昭25)12月24日生まれ、宮城県出身の73歳。米カリフォルニア州立大ロングビーチ校ジャーナリズム科卒業後、76年にTBS入社。89年に退社し、生島企画室を設立。TBSラジオ「生島ヒロシのおはよう定食・一直線」(月~金曜前5・00)は、98年から続く長寿番組。健康に関する名物コーナーに登場する名医たちとの親交から、芸能界きっての健康通。75歳の現役医師・鎌田實さんとの共著「70歳からの“貯筋”習慣」(青春出版社)が販売中。