【コラム】海外通信員
サンプドリア、4日ごとにPCR検査 セリエA無観客開催措置は7月末まで
2020年07月17日 09:00
サッカー
ともかく5月18日にロックダウンの最初の緩和が行われてからおよそ1ヶ月後の6月20日、セリエAは再開された(サッカー自体はイタリア杯の準々決勝ユベントスvsミラン戦がスタートとなっている)。それからさらに1ヶ月たった現在、選手からは新規感染者が出ていない。サッカー関係者を合わせてもパルマの医療スタッフの中に感染者が出たくらいだ(ちなみに無症状で自主隔離済み)。ここまでは、厳しいガイドラインが機能していると言える。
先日サンプドリアの吉田麻也選手にクラブ広報経由で取材する機会を得たが、その中で「4日ごとにPCR検査を受けている」ときいた。接触スポーツとして警戒される中、各チームにはこのような頻度で検査をして抑え込むことが課せられている。検査結果も短い時間でわかるというのだ。とりあえず国全体でも感染のペースが落ち、ウイルスの実行再生産数(R0)は5月からずっと1を切っている。「サッカー選手が優先で検査されてしまうというのはいかがなものか」という批判もあったが、感染の拡大に一応の歯止めがかかった事情でこそ許されるようになったということである。
一方スタジアムでは無観客がルールとなっている。感染防止対策のために、観客を入れてのスポーツイベントの開催が禁止されているためだ。それだけではない。選手や係員も含めて入場できる関係者の数には上限が定められている。ピッチレベルや更衣室などのグラウンドレベルでは、選手やコーチ陣、医療スタッフなども含めて100人まで。その他の場所も2つに分かれてゾーニングがされ、合計では300人しか入ることができないようになっているのである。インタビューでもソーシャルディスタンスの保持が厳しく言い渡され、マイクは一つ。インタビューアーの位置は離れ、しかもマイクは使用後直ちにヘッド部分のスポンジを変えなければならないという徹底ぶりだ。
試合になれば当然、観客の声はない。中継の場合は選手の声が届くようになるのだ。その一方で選手にとっては困ったことも幾らか発生している。5日に行われたインテル・ミラノvsボローニャ戦では、MFソリアーノが主審に暴言を吐いて退場。もっともミハイロビッチ監督いわく「観客がいるところではまず聞こえなかったであろうシチュエーションだった」というのである。一方で試合を見ていると、その監督たちに注意が及ぶことも各試合で結構増えている模様。そして退場になった監督たちは、次の試合であくまで”視察者”として声を上げる。しかし結構それがスタジアムに響くので、テレビ中継でも拾われてしまう。ピッチサイドレポーターは「ベンチ入り禁止処分になっても指示がピッチまで聞こえてしまっているような状況だ」と苦笑していた。
ガイドラインに沿った現在の無観客開催措置は、とりあえず感染防止のための首相令が失効する7月31日まで。しかし最終の何試合かは部分的にでもなんとか観客を入れられないかと、レガ・セリエAは関係各所に折衝をする模様だ。(神尾光臣=イタリア通信員)