東京五輪後にバーンアウト 川井友香子をつなぎ止めた母・初江さんの言葉 レスリング明治杯全日本選抜

2023年06月16日 20:52

レスリング

東京五輪後にバーンアウト 川井友香子をつなぎ止めた母・初江さんの言葉 レスリング明治杯全日本選抜
女子フリースタイル68キロ級決勝、試合に敗れ涙を流す川井友香子(撮影・河野 光希) Photo By スポニチ
 【レスリング明治杯全日本選抜選手権第2日 ( 2023年6月16日    東京体育館 )】 9月の世界選手権(ベオグラード)代表選考会を兼ねて行われ、女子68キロ級決勝で東京五輪62キロ級金メダルの川井友香子(サントリー)は、昨年の世界選手権65キロ級優勝の森川美和(ALSOK)に0―3で敗戦。自力での24年パリ五輪出場への道が断たれた。
 川井は前日の1次リーグを3戦全勝の1位で突破。この日行われた準決勝では、21年世界選手権の72キロ級を制した古市雅子(自衛隊)と対戦。一回り大きな相手にパワーでは劣勢を強いられながらも、果敢に飛び込んでバックを奪うなどし、4―3で勝利した。しかし決勝では前日の1次リーグで勝っていた森川を攻めあぐねて敗戦。セコンドについた姉で57キロ級の金城梨紗子(サントリー)に抱き留められると、はばかることなく涙を流した。

 東京五輪後は、モチベーションの維持に苦しんだ川井。昨年は階級変更をするきっかけとなった腰痛に苦しみ、12月の全日本選手権でも5位に沈んだ。この時、「引退」の2文字が脳裏をチラついたが、つなぎ止めてくれたのは、元世界選手権代表で幼少期から姉妹を厳しく指導してくれた母・初江さんの言葉だったという。

 「12月に負けて辞めようと思って、家族にも引退しようかと話したら、母から“天皇杯が最後だと思って見ていなかった。もっと覚悟を持って見たい”と言われた」

 結果がどうであれ、最愛の母の目に最後の雄姿を見てもらいたい。その思いで半年間、自分自身と向き合い、階級転向を経て再び闘いのマットに立った。優勝は逃したが、「やりきれたかなと思う。この階級に初めて挑戦して、ずっと逃げたくて、レスリングを辞めてどこかへ言ってしまいたいと思ったが、そう思っていたことを振り返れば、本当によくここまでできたなと思う」と話し、号泣した。

 集大成のつもりで臨んだ舞台を終え、新たな気持ちも芽生えてきた。階級転向決断からわずか2カ月、体重もリミットより5キロも軽い63キロ程度で計5試合を戦い、日本のトップを争える手応えをつかんだ。「思ったよりも戦えた。そこには手応えがある。辞めてしまうのはもったいない。また次の目標を見つけて、頑張っていきたいと思う」。

 パリ五輪の可能性も、まだゼロになったわけではない。自分の気持ちと向き合い、この先の針路を定める。

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