【世界陸上】田中希実 衝撃の日本新 従来の記録を14秒86も縮め「100点満点」

2023年08月25日 05:25

陸上

【世界陸上】田中希実 衝撃の日本新 従来の記録を14秒86も縮め「100点満点」
女子5000メートル予選 14分37秒98の日本新記録で決勝進出を決めた田中希実(右から2人目) Photo By 共同
 【陸上・世界選手権第5日 ( 2023年8月23日    ハンガリー・ブダペスト )】 女子5000メートル予選で、1500メートル東京五輪8位の田中希実(23=ニューバランス)が従来の記録を14秒86も縮める14分37秒98の日本新記録で2組6着に入り、3大会連続で決勝進出を果たした。20日の準決勝で敗れた1500メートルからわずか3日で修正。26日の決勝で、97年アテネ大会の弘山晴美以来となる同種目の日本人2人目の入賞を目指す。
 衝撃の記録を叩き出した。6番手でフィニッシュした田中は、満足感を漂わせた。「今の100点満点をまずは見せることができて良かった」。21年東京五輪9位の広中が出した14分52秒84を15秒近く上回った。

 果敢に攻めた。5000メートル、1万メートル東京五輪2冠のハッサン(オランダ)にスタートから食らいつく。序盤は2番手。アフリカ勢に吸収される形で7位でラスト1000メートルへ。「失速しても日本記録。でも、そういう日本記録はうれしくない」。さらに力を振り絞り、大記録につなげた。

 生みの苦しみを味わった。異例の3種目挑戦の昨年を経て、今大会は「世界の仲間入り」を目指して勝負に来た。昨年10月に続き、6月にはケニア合宿に向かった。マラソン選手のメニューを消化し、世界基準のスピード、スタミナを体感。それでも、増したはずの地力をどうレースで表現すればいいか分からなかった。

 1500メートルは20日の準決勝で散った。そのレース前から田中は「何をやってもむなしい」と弱気の発言で周囲を心配させていたという。そんな娘を見かねた父・健智コーチは話し合いの場を持ち「チームを解散する。この世界選手権で区切っても良い」と突き放した。

 今季からプロとなり、少しだけ独りよがりになった田中は冷静になった。「力の借り方が自分自身、下手。誰のことも傷つける言動をしてしまう。それでも一緒に苦しみ抜いてくださった方がいたことでスタートラインに立てた」と吹っ切れた。26日にはこの種目3度目の決勝が待つ。「入賞を狙っていきたい」。世界と真剣勝負する舞台が整った。

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