【世界陸上】やり投げ女王・北口榛花はJALアスリート社員 金メダル支えた“翼”とは?

2023年08月26日 12:00

陸上

【世界陸上】やり投げ女王・北口榛花はJALアスリート社員 金メダル支えた“翼”とは?
アスリート社員として奄美大島で陸上教室を行った北口(左)(JAL提供) Photo By 提供写真
 陸上・世界選手権(ハンガリー・ブダペスト)の女子やり投げで、日本女子トラック&フィールド種目初の金メダルを獲得した北口榛花は、JALに20年に入社。それ以来一貫してサポート業務に当たるのが、同社の人材戦略部の谷美和さんだ。「アスリート社員」としての活動や、そのメリットは何か。北口を間近で支える谷さんに聞いた。
 アスリート社員は「競技以外に社員と一緒にさまざまな取り組みを行っていることもあり、一般的なスポンサー契約のアスリートより社員にとってはより身近な存在」と谷さん。「競技活動を最優先」させる中でも、北口は拠点とするチェコの日本大使館でのレシェプションパーティーではJALブースのPR活動にも参加した。20年のコロナ禍では社員の健康促進として、他のアスリート社員とJALグループ社員と一緒にエクササイズ動画を製作し、100日間配信し続けた。

 昨年度にはアスリートアカデミー事業として、鹿児島・奄美大島や沖縄・石垣島に出向き、他のアスリート社員とJALグループ社員たちと陸上教室を行った。遠征から帰国する度に、出社して役員への報告も行う。顔なじみの社員も多く、谷さんは「JALグループにはたくさんの仲間がいて、彼女にはたくさん応援がついている」と語る。

 JAL社員であり、そのメリットも享受する。昨年のオレゴン大会では、コロナ禍における急なフライトキャンセルなどの影響を受け、経由地のロンドンで足止めのアクシデントがあった。振替のフライトでは試合に間に合わないため、空港支店の社員に状況を聞き、急きょサンフランシスコ経由でのフライトを抑えた。

 「ラスト4席の(コーチら含め)3席でした。ロストバゲージになりましたが、北口、コーチ、トレーナーは現地に着くことができた。そこに仲間がいることで最善の選択ができた」と谷さん。ロストした荷物も運ばれていることを随時追跡。「他のお客さまも同様ですが、我々の持つ力を最大限に生かしサポートしています」と語る。

 チェコ拠点の北口が海外転戦の際に使う経由地はフィンランドのヘルシンキ。日本からの就航都市でもあり、ヘルシンキには多くの支店スタッフがサポートしている。乗り継ぎの際は支店のスタッフが出迎え「(航空機から)降りてきたら“北口さんっ!”と。仲間が来たことへの喜びをちゃんと届けようという意識がある」。昨年のダイヤモンドリーグ・ファイナルから帰国する際もプラハからの経由地として利用した際は、同支店スタッフが横断幕で祝福したという。

 今大会はコーチと陸路での移動だったが、来夏のパリ五輪でのサポート態勢はバッチリ。谷さんは「パリ支店は待ち構えているようですよ。たくさんスタッフがいるので、いろんな応援も企画している。世界中に仲間がいるのは強みです」と語る。次は、悲願の五輪金メダルへ。北口が描く放物線は、JAL社員の“希望の翼”でもある。

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