履正社・森田 吉兆の4番弾 19年日本一の井上と同じ初戦、初回に決めた

2023年08月08日 05:30

野球

履正社・森田 吉兆の4番弾 19年日本一の井上と同じ初戦、初回に決めた
<鳥取商・履正社>初回、先制の3点本塁打を放つ履正社・森田(撮影・成瀬 徹) Photo By スポニチ
 【第105回全国高校野球選手権記念大会 1回戦   履正社6―0鳥取商 ( 2023年8月7日    甲子園 )】 1回戦4試合が行われ、初優勝した19年以来4年ぶりの出場となった履正社(大阪)は鳥取商(鳥取)に6―0で快勝。4番の森田大翔(はると)内野手(3年)が初回に先制3ランを放ち、主導権を握った。智弁学園(奈良)は英明(香川)との接戦を制し、タイブレークの延長10回にサヨナラ勝ち。徳島商(徳島)は愛工大名電(愛知)を、高知中央(高知)は川之江(愛媛)を、それぞれ下した。
 T―岡田(現オリックス)、山田哲人(現ヤクルト)、安田尚憲(現ロッテ)、井上広大(現阪神)――。履正社が生んだスラッガーの系譜に加わろうとする4番打者が、日本一への号砲を鳴らした。初回1死一、二塁。森田がカウント1―1から内角高め直球に体を上手く回転させて捉えた。あっという間に左翼席に消える先制3ランとなった。

 「気持ち良かった。走者を還すことだけを意識していました」
 19年以来4年ぶりとなる夏の甲子園。当時の4番・井上も、初戦の霞ケ浦戦で初回に左翼席へ本塁打を決めた。この一発で弾みをつけ、同校初の日本一まで駆け上がった。4年前と状況が重なる吉兆弾。「人より飛ばせる」と長打自慢の4番が大先輩・山田の応援歌の力も借り、今春選抜の悪夢も振り払った。

 選抜は初戦で敗れた。チーム宿舎に戻ると、多田晃監督の部屋をノックした。「ベンチの声かけも雰囲気も良くない。一球を大切にできなければ勝てないと思います」。選手の誰にも相談せずに、一人で訴えた。選抜後、チームは早朝練習を開始。勇気ある行動が変革の一歩目となった。

 誰よりも自分自身に厳しかった。選抜後から睡眠時間は1時間削って平均6時間以下に減らし、自主練習の時間を捻出した。起床と同時にストレッチを開始。授業の合間の10分休憩すらも無駄にせず、グラブを磨いたり、体を伸ばしたりした。「あのままやっていても一緒だった。変われたと思います」。今夏の大阪大会では7試合で3本塁打と覚醒し、決勝で大阪桐蔭を撃破。個人でもチームでも殻を破った。

 「春は自信持って打席に入れていなかった。今は自信がある。その精神面の違いが大きいと思います」

 初戦で敗退した選抜とは違う。森田が頼もしさを増して聖地に帰ってきた。(河合 洋介)

 ◇森田 大翔(もりた・はると)2005年(平17)4月17日生まれ、大阪府豊中市出身の18歳。小学2年に豊島パワーズで野球を始めて遊撃手。中学では豊中シニアに所属。履正社では1年秋に背番号15でベンチ入りし、2年秋に背番号5。遠投100メートル、50メートル6秒4。1メートル80、77キロ。右投げ右打ち。

 ▽履正社の19年夏の甲子園優勝 1回戦の霞ケ浦戦では4番・井上の一発を含むチーム5本塁打で快勝すると、準決勝まで5試合連続2桁安打。決勝は選抜1回戦で敗れた星稜との再戦を制した。井上は3回に3ランを放って全6試合で安打。26打数10安打(3本塁打)、14打点、打率・385で初優勝に貢献した。

 ○…履正社の1回戦勝利によって、大阪勢の夏の甲子園での通算勝利数が183に。都道府県別で最多の東京(184勝)にあと1と迫った。今夏の東京勢は共栄学園(東東京)が6日に敗退し、日大三(西東京)が9日に社(兵庫)との初戦に臨む。

 ▼広島・苑田聡彦スカウト統括部長 スイングした時に“これは良い打者だ”と思いましたね。面白い選手ですよ。

 ▼ヤクルト・橿渕聡スカウトグループデスク 良い打者ですよね。右の長距離砲で(ボールを)捉えるのがうまい。バットが内から出るので、いろいろいろな球に対応できる。長打が打てるので希少価値があります。

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