“弟分”に負けない歴史的60発! 阪神・佐藤輝「僕も頑張りたいなって」 風も味方にアレへ一直線

2023年09月03日 05:15

野球

“弟分”に負けない歴史的60発! 阪神・佐藤輝「僕も頑張りたいなって」 風も味方にアレへ一直線
<ヤ・神>3回2死一、三塁、3点本塁打を放ち、笑顔でナインとハイタッチをかわす佐藤輝(撮影・北條 貴史) Photo By スポニチ
 【セ・リーグ   阪神6-5ヤクルト ( 2023年9月2日    神宮 )】 阪神・佐藤輝明内野手(24)が2日のヤクルト戦で16号3ランを放ち、6―5での勝利に大きく貢献した。3回にピーターズから右翼ポールを直撃するアーチをかけ、球団では1971年田淵幸一以来となるプロ3年目での通算60本塁打に到達。8月23日の中日戦から8試合で3発と量産態勢に入った和製大砲は、66打点でもチームトップに立った。9月戦線で連勝発進のチームは優勝マジックを17に減らした。
 バットを振り抜いた直後、佐藤輝は走り出すことなく、右翼方向へ舞い上がった打球の行方を見つめていた。「ファウルか…」。本人を含め、誰もがそう思った。ところが、だ。打球は左翼方向に吹く風に押し戻される形で、右翼ポールに直撃。ビッグイニングを締めくくったのは、和製大砲の“幻惑弾”だった。

 「風じゃないっすか。いや、分かんないです(笑い)。最初、ファウルかなと思ったんですけど、戻ってきて。最後まで入ると思っていなかった」

 3回だ。小野寺の逆転2点三塁打などで3点を奪い、なおも2死一、三塁。すでにフラフラ状態だったヤクルト先発・ピーターズにトドメを刺した。1ボールから甘く入ってきた直球をフルスイング。観衆の度肝を抜くプロ通算60本目のアーチで、負ければマジック再消滅だった一戦を、勝利へと導いた。

 前日は森下のアイブラックを自らの手で塗り、そのドラ1の後輩は初の1試合2発と大暴れ。この日も験を担ぎ、前日よりさらに長く後輩の両目の下に黒いラインを引いた。本塁打からの生還後は、打席に向かう6番・森下へ向け、目の下に手をやって笑いかけた。ヒーローインタビューでは「アイツ今日、打てなかったんで、明日どうするかこの後、考えます」と周囲を笑わせたが、その後の囲み取材では「彼も頑張っているんで。しっかり僕も頑張りたいなって気持ちはあります」と、兄貴分としての顔ものぞかせた。

 8月に月間打率・300を記録するなど、好調を維持する背番号8。長期ロード明けで甲子園に帰還した先月29、30日のDeNA2連戦では、久々に“聖地の洗礼”を浴びた。「試合中も全然風がなくて暑かった…。風もね、いつも逆に吹いてくれたらいいなと…」。左打者にとっては難敵となる甲子園特有の浜風に思わず苦笑いを浮かべた背番号8が、この日は敵地の風を味方につけ、その上空に虎党へ歓喜を届けるアーチを描いた。

 「マジックとかは気にせずに、目の前の試合に集中することを心がけていました。本当に一戦一勝で頑張るだけです」

 16本塁打、66打点はチーム2冠。試行錯誤を続けながら結果を積み上げてきた3年目の佐藤輝が今こそ、「アレ」へと突き進む猛虎の原動力となる。 (阪井 日向)

【データ】
 ○…佐藤輝が1年目の21年から24→20→16と通算60本に到達。阪神で新人から3シーズンで60本塁打以上は69~71年に田淵幸一が22→21→18と61本塁打して以来52年ぶり。また、新人から3年以上連続20本塁打以上は今季の牧(D=3年連続)まで6人いるが、チームでは田淵の2年が最多。佐藤輝が達成すれば球団史上初めてになる。

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