阪神・森下で貯金30 3度の「1-0」決勝打は球団新人初 ベンチではあの陽気な男に背中を押され…

2023年09月07日 05:15

野球

阪神・森下で貯金30 3度の「1-0」決勝打は球団新人初 ベンチではあの陽気な男に背中を押され…
<中・神>試合に勝利し、中野(左)とじゃれ合う森下(撮影・岸 良祐) Photo By スポニチ
 【セ・リーグ   阪神1-0中日 ( 2023年9月6日    バンテリンD )】 阪神は6日、中日に“スミ1”の1―0で競り勝った。今季5度目の5連勝で、前回優勝の2005年以来18年ぶりの貯金30に到達した。前日5日は「1番・中堅」で2安打2得点の阪神・森下翔太外野手(23)が、この日は5試合ぶりに「3番・右翼」でフル出場。初回の決勝左前打で、2リーグ制以降では球団新人初のシーズン3度目の「1―0決勝打」を記録するなど連夜のマルチ安打と躍動し、優勝マジックを「13」に減らした。あす8日からは7・5差で追いすがる2位・広島との直接対決3連戦に臨む。
 打順が変わったくらいでメンタルが揺らぐような、ヤワい男ではない。1日からのヤクルト3連戦は6番、今回の中日2連戦は初戦が1番で、この夜が3番。その役割も、打席へ向かうリズムも全く異なる働き場所でも、森下は全力でバットを振るだけだ。

 初回先頭で小野寺が中前打を放つと、中野が送って1死二塁。マウンドには東海大相模の先輩・小笠原。試合前時点で今季5打数4安打、打率・800と“カモ”にしていた左腕がカウント2―2から投じた外角高めの直球を引っ張り、左前へ運んだ。

 「どこを任されても打てるような準備でやっている。これまでの対戦のイメージもあった。配球も考えながらしっかり捉えられた。(小野寺)暖さんもよく走ってくれました」

 二塁から激走の末に生還した先輩を称える姿が実に憎らしい。結果的にこの一撃でスコアボードに刻んだ「1」が、勝敗を分けた。自身初のサヨナラ打で熱戦に終止符を打った5月20日広島戦、聖地の闇夜に鮮やかなプロ初アーチをかけた7月9日ヤクルト戦に続くシーズン3度目の「1―0決勝打」。2リーグ制以降の球団最多タイで、球団新人では初の快挙でもあった。

 もう一つ、価値ある一打が8回1死でマークした三塁内野安打だ。先頭で四球を選んだ中野が自身の打席で二盗失敗。流れが止まりそうなところで、全力疾走で「H」をもぎ取った。得点にはつながらなくても「当たり前のことを当たり前にやるのがいい選手。全力で走ることに意味がある」。これで9月5戦全勝とし、貯金も18年ぶりの「30」に到達。一発を秘め、巧打が武器で、そして足もある23歳が、百戦錬磨の先輩たちに負けじと虎の進撃を支えている。

 頂点へ向け、シビれる日々が続く。一投一打の責任も増し、森下もチャンスで打てずに下を向いたことも少なくない。そんなときはあの陽気なドミニカンが肩を叩いてくれる。

 「ミエセスが“気にするな!ベンチ裏に下がって気分転換でもしてこい!”と言ってくれるんですよ」

 愉快な仲間に背中を押され、森下は懸命に前進を続ける。8日からの2位・広島との直接対決の舞台は、超満員の甲子園。背番号1の弾丸で鯉の息の根を止めるには、うってつけのステージだ。 (八木 勇磨)

【データ】
 ○…阪神は初回、森下の先制適時打で1―0勝利。今季5度の1―0勝利のうち、森下の決勝打は5月20日広島戦、7月9日ヤクルト戦に続く3度目。シーズン3度の1―0決勝打は22年の大山に続く2リーグ制以降のチーム記録で、大山以前にはカークランド(68、69年)、遠井吾郎(68、70年)、藤田平(71年)田淵幸一(71年)が記録。新人では森下が初めてだ。
 ○…阪神の貯金30到達は05年以来18年ぶり7度目。過去6度のうち1リーグ時代の37年秋、47年、セ・リーグでの03、05年の4度で優勝している。岡田監督の05、23年2度の到達は、石本監督の2度(37年秋、39年)に並ぶ阪神監督最多。

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