【虎番リポート】「9・14」甲子園に横田さんはいた。代打・原口の場面でベンチの糸原が見た“白チョウ”

2023年09月20日 07:00

野球

【虎番リポート】「9・14」甲子園に横田さんはいた。代打・原口の場面でベンチの糸原が見た“白チョウ”
18年ぶりのリーグ優勝を決めた「9・14」、聖地に舞い戻った“白チョウ”はナインの手で再び天に舞い上がった Photo By スポニチ
 【虎番リポート】あの日、誰もが「横田慎太郎」とともに戦い、喜びを分かち合った。
 18年ぶりのリーグ優勝を決めた9月14日の巨人戦(甲子園)の9回2アウト。ベンチには、左尺骨骨折で離脱中の梅野の姿もあった。その手には、背番号24のユニホーム。岩貞ら同期入団の面々の働きかけで7月に脳腫瘍で亡くなった横田慎太郎さんの現役時代のユニホームが、故郷・鹿児島から届けられた。

 岡田監督が胴上げされた後、輪の中心に促されたのは岩崎だった。守護神も3度、宙を舞った。この時、左手には背番号24のユニホームも握りしめられ、一緒に舞った。「胴上げはグッチ(原口)が言ってくれたので。ヨコ(横田さん)への思いもあったと思う」(岩崎)。大腸がんの闘病を経験した原口は、リハビリをともにした横田さんと甲子園のお立ち台に並び立つことを約束していた。横田も胴上げしたい――。原口だけでなく全員が、岩崎と横田さん2人分の重みを感じて天を見上げた。

 翌日の練習中、マツダスタジアムのベンチで私は原口に手招きされた。「昨日、僕には横田が本当に胴上げされているように見えました。ユニホームからヨコの体が見えました」。鹿児島の自宅で試合を見ていた横田さんの母・まなみさんも全く同じだった。「24のユニホームが宙を舞っているのを見てユニホームを着ている慎太郎が舞っているような錯覚をしてしまいました」

 これだけではない。実は試合中にこんな不思議なこともあった。7回1死二塁で代打として原口が打席に立った際、ベンチからグラウンドを見ていた糸原の視界に“あるもの”が飛び込んできた。「原口さんが代打で打席に立った時に、白いチョウが飛んできたんです。マウンドと打席の間に止まって…。あぁ、横田が一番いいところで見ているんだなと」

 聖地に舞い戻った“白チョウ”はナインの手で再び天に舞い上がった。18年ぶりのリーグ優勝を決めた「9・14」は、横田慎太郎さんが甲子園に帰ってきた日としても記憶される。(遠藤 礼)

 ▽甲子園のチョウチョウ 08年8月10日、高校野球選手権大会2回戦、報徳学園が延長10回、智弁学園にサヨナラ勝ち。東兵庫大会決勝から3試合連続の劇勝となった。サヨナラ犠飛の3年・氏家は3日の新潟県央工との1回戦でも同点2ラン。同年5月に亡くなった父の葬儀、地区大会決勝、甲子園初戦で目撃した“不思議なチョウチョウ”を父の存在になぞらえ「やっぱり(そばに)いるんで」と振り返った。

おすすめテーマ

2023年09月20日のニュース

特集

野球のランキング

【楽天】オススメアイテム