ボンズ、U18の4番に学ぶ大砲育成法 原点ゴロ禁止 スモールから新局面へ、少年野球がカギ握る

2023年09月20日 08:00

野球

ボンズ、U18の4番に学ぶ大砲育成法 原点ゴロ禁止 スモールから新局面へ、少年野球がカギ握る
履正社・森田大翔 Photo By スポニチ
 今月開催された「第31回WBSC U18ワールドカップ(W杯)」では、高校日本代表がスモールベースボールを掲げて初の世界一に輝いた。9戦1本塁打と、つなぐ野球を徹底した。一方、準優勝の台湾は計5発。恵まれた体格の選手が強振を続ける攻撃もまた魅力的だった。日本でも本塁打打者を求める機運が高まれば、長打力勝負が選択肢の一つに加わるかもしれない。
 今夏の甲子園で注目された2人のスラッガーは、少年野球から本塁打狙いを許される環境で育った。高校通算62発の広陵(広島)・真鍋慧(3年)は、小学生の頃から父・隆さんに「ゴロを打つな」と教えられた。「フェンスを超えれば、誰にも邪魔されない。一番楽やぞ」。自宅前の練習でプラスチックの球を打つときは、駐車場の屋根を超えるように狙い続けて打球に角度をつけた。

 中学の環境にも恵まれた。所属した安芸リトルシニアの川上祐総監督が「全員、本塁打狙い。遠くに飛ばせ」との方針を掲げていた。練習場は両翼約80メートル。柵越えを連発して練習球が減る一方でも、逆方向を狙えとは言われなかった。「出世払いや。稼げるようになったら球をたくさん買ってくれ」。真鍋も「中学のチームは自由にフルスイングして良かった。それが今も生きている」と証言する。

 U18W杯で4番を務めた履正社(大阪)・森田大翔(3年)も、小2から所属した豊島パワーズの指導方針が「遠くに飛ばせ」だった。ヘッドコーチだった父・将史さんから「打撃は高いフライを上げてなんぼや。誰も捕れないような飛球を打ちなさい」と指導された。加えて「その高い飛球から徐々に角度を下げていけばいい」と伝えられ、理想の打球角度を体で覚えていった。

 今回のU18W杯は、日本のスモールベースボールが世界に誇れることを示す大会になった。次は、どんな野球で勝負するだろうか。近い将来、長打力で世界と勝負できるほど数多くのスラッガーが育っていることを楽しみに待ちたい。そのためにも、少年野球など育成世代の指導が重要な役割を担っていることをスラッガーの過去を通して学んだ。(記者コラム・河合 洋介)

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