大谷の有力移籍先のひとつと目されるパドレス、給料総額368億円で惨敗の理由を徹底分析

2023年09月20日 17:12

野球

大谷の有力移籍先のひとつと目されるパドレス、給料総額368億円で惨敗の理由を徹底分析
エンゼルスの大谷 Photo By スポニチ
 スポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」が19日(日本時間20日)、スーパースターを4人も揃え、メジャー3位の給料総額2億4900万ドル(約368億円)のパドレスが、なぜ期待外れに終わったかを徹底分析している。
 
 パ軍はこのオフ、大谷翔平の獲得にも動くと噂されているが、果たして大谷がこのチームを選んでも大丈夫かという質問へのひとつの答えにもなっている、チーム作りの最高責任者はAJ・プレラー編成本部長(46)だ。ピーター・サイドラーオーナーの絶大な信頼を得て、一部のビッグマーケットチーム以上の補強資金を任されている。しかしながら14年8月の就任以来、勝ち越しシーズンは2度で、何度も監督の首をすげかえている。もしこのオフにボブ・メルビンが去れば、来年は10シーズンで6人目の監督になる。

 プレラーは選手の才能を見抜く力には定評があり、ドラフトなどで優れた若手を指名し、ファームシステムにストックしていける。ライバル球団には仕事量で上回らねばならないという考え方の持ち主で、なんとかパドレスを強くしようと必死だ。その一方で、必ずしもコミュニケーションの取り方が上手ではない。現場の監督、コーチとうまく行かない。ある選手によると今、就任2年目のメルビン監督とプレラーの関係は修復しようのない状態だと言う。

 プレラーは編成の責任者だが、練習の中身や、練習時間など現場のことまで管理したがる。ゲームプランに従い、それに合わせた練習をして試合に臨んで欲しいと強いる。そして3人も既に打撃コーチがいるのに、さらに打撃を見るスタッフを雇ったりする。いろんな視点があった方が良いという考え方だが、現場は混乱する。

 61歳のメルビンはメジャーで監督20年目で、これまでに3度最優秀監督に選ばれた。言うまでもなく経験豊富で、選手の状態を見ながら、休ませるべき時はしっかり休ませたい。だがフロントが干渉してくる。プレラーの選んだベンチ入りの26人の選手についても、今季序盤、野手の控えは控え捕手以外にたった1人だけ。ゆえにレギュラーはほぼ毎日プレーし、フェルナンド・タティスが出場停止処分から戻ると打順も固定となった。つまり監督として工夫できることが少なかった。その上でブルペンは層が薄かった。

 1点差試合は6勝22敗、延長試合は0勝11敗で、両方リーグワースト。接戦に弱いと監督の采配が悪いということになるが、メルビンにはメルビンの言い分がある。22年は98年以来のナ・リーグ優勝決定シリーズ進出で2人の関係は大丈夫だったが、今季は5月11日以降、勝率5割以上が一度もなく、亀裂が深まった。混乱するのは選手たちだ。ベテランのメルビンは現場の選手たちにはチーム状態にかかわらず、いつも同じ態度で接することが大切だと知っている。しかしプレラーは考え方が違う。選手は混乱する。「選手は誰を信頼すれば良いのか、誰と話せばいいのかと頭を抱えてしまう」とある選手。両親の仲が悪くて、苦しんでいる子供のような状態になっていたという。

 プレラー編成本部長は「ジ・アスレチック」の取材に「メルビン監督を尊敬している。野球チームを運営していれば、なんでも同じ意見ということはない。意見が違うのは普通のこと。普通に話し合っている」と説明している。ただ取材に応じた選手は、「今年勝てなかったのは組織的な問題で、負けが込むにつれ、悲観的な雰囲気になっていった」と証言する。

 そもそもプレラーの集めたスター軍団がユニットとしてプレーできていないという根源的な問題もある。スーパースターばかりでロールプレーヤーがいない。大きな本塁打でなはく、確実に進塁打を狙うなど、状況に応じたプレーができていない。

 「ジ・アスレチック」はサイドラーオーナーがいつまでプレラーに任せるのかと疑問符を付けている。果たしてプレラーがトップにいて、フロントと現場の間で信頼の文化を構築していけるのか?大谷がパドレスに加わればすごい打線になるが、顔ぶれだけでは野球に勝てないことは、今季既に証明されている。

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