大谷翔平と心を通わせるハロルド・レイノルズ氏が考えるFAでの行き先の候補は…

2023年11月05日 08:00

野球

大谷翔平と心を通わせるハロルド・レイノルズ氏が考えるFAでの行き先の候補は…
大谷翔平 Photo By スポニチ
 ワールドシリーズが終わると大リーグはストーブリーグへ。全米の野球ファンの視線はフリーエージェント(FA)となった大谷翔平投手の行方に集中する。ファンだけでなく、メディア、OBまで含め、全ての野球関係者がどんな選択をするかに注目しているといっても大袈裟ではない。
 マリナーズなどで現役時代に盗塁王1度、ゴールドグラブ賞3度の名二塁手で、現在は大リーグ専門局「MLBネットワーク」の解説を務めるハロルド・レイノルズ氏(62)もその中の1人だ。

 「あれだけの才能なのだから、たとえ右肘手術のリハビリを進めなければならないとしても、全てのチームも翔平を欲しがるはずだ。どんな結論を出すかは楽しみだね」

 レイノルズ氏が大谷の比較対象として名を挙げるのは、自身の元チームメートでもあったケン・グリフィー・ジュニアだ。通算630本塁打を放ち、全盛期は誰もが憧れたスーパースター。メジャーでの最初の18年間はシアトル、シンシナティでプレーしたグリフィー同様、大谷がさらにビッグな存在になるために、レイノルズ氏は必ずしもドジャース、ヤンキースのような名門チームでプレーする必要性は感じないという。

 「シアトルは有名都市ではなかったが、それでもジュニアは世界的なスーパースターであり続けた。翔平も同じだよ。ファンはみんな翔平に強いチームに行ってほしいと願っているけど、今年のプレーオフでダイヤモンドバックスはビッグマーケットではなくても勝ち抜けることを証明した。翔平は国際的な大スターだ。どこに行こうとその球団は注目チームになるのだろう」

 実はレイノルズ氏は大谷と近い関係を築いている数少ないメディアメンバーの一人でもある。過去数年の球宴やWBCなど、大イベントでの大谷とのインタビューが恒例。レイノルズ氏本人も「翔平は私を気に入ってくれているみたいだ」と述べており、グラウンドで大谷から歩み寄ってくることもあるほどだ。

 なぜ大谷とそこまで良好な関係を築けたのか。年齢もかなり離れた2人には接点は少ないように思える。今回のワールドシリーズ期間中にその点を突っ込むと、レイノルズ氏は「世界は狭いってことだ」と笑いながらあるエピソードを披露してくれた。

 「実は私の子供たちのピアノの先生が日本人で、翔平と同じ街の出身なんだ。彼女は今、ニュージャージー在住。翔平が渡米してくる前から、私は“このショウヘイ・オオタニというのは何者なのかな?”と彼女に尋ねていた。彼女は翔平がどんな選手かを一生懸命説明してくれたから、そこで“翔平がニューヨークに来たら球場に連れて行ってあげる”と約束したんだ。翔平にとってのメジャー1年目だった2018年、ヤンキース戦でニューヨークに来た際、エンゼルスを通じて対面をセットアップしてもらった。クラブハウスで翔平は彼女に親切に接してくれて、ユニホームをプレゼントし、一緒に写真を撮った。そんな経験を通じ、私と翔平も親しくなったというわけだ」

 レイノルズ氏は実際にうれしそうにポーズを取る大谷とピアノの先生の写真も見せてくれた。故郷、ルーツを大事にする大谷らしい逸話である。そんな対面がきっかけになり、明るく実直な印象があるレイノルズ氏に個人的にも好印象を持ったのだろう。

 こうやって大谷と心を通わせるレイノルズ氏の言葉には一定の説得力がある。だとすれば、FAでの行き先の候補は、ビッグマーケットのチームに限定するべきではないのかもしれない。晴れて所属先が決まったあと、心を許すレイノルズ氏のインタビューに応える大谷の姿を見るのが今から楽しみである。(記者コラム・杉浦 大介通信員)

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