窮地救ったオリの絶対エース山本由伸 “5度目の正直”日本S初勝利「2敗目つかないよう集中していた」

2023年11月05日 05:40

野球

窮地救ったオリの絶対エース山本由伸 “5度目の正直”日本S初勝利「2敗目つかないよう集中していた」
<オ・神>試合に勝利し、拳を突き上げる山本(撮影・岸 良祐) Photo By スポニチ
 【SMBC日本シリーズ2023第6戦   オリックス5ー1阪神 ( 2023年11月4日    京セラD )】 日本のエースが大一番で本領を発揮した。「SMBC日本シリーズ2023」の第6戦が4日、京セラドーム大阪で行われ、オリックスが阪神を5―1で下して3勝3敗のタイに持ち込んだ。先発・山本由伸投手(25)が、9安打1失点完投。シリーズ新記録となる14奪三振とパ投手4冠の本領を発揮し、登板5試合目でシリーズ初勝利を飾った。打順を大きく組み替えた打線も右腕を強力援護。3勝同士の第7戦突入は13年以来10年ぶり。59年ぶりの「関西シリーズ」は5日、雌雄を決する。
 これが由伸だ!魂の138球、気迫の14奪三振。最後の打者、近本を二ゴロに打ち取ると、右手を高く突き上げた。シリーズ開幕戦がまさかの背信登板となった「絶対エース」が、崖っ縁で本領を発揮した。

 「4、5回ぐらいからすごく調子を取り戻せたので、そこからは思い切っていくだけでした。もう1回(登板が)回ってくるだろうと思っていたんで、とにかく集中した。本当に今日は(敗退が)決まる試合だったので。2敗目はつかないように集中していました」

 もうふがいない姿を見せるわけにはいかなかった。10月28日の第1戦。3年連続の「開幕投手」を任されながら、6回途中10安打と炎上し、自己ワーストタイ7失点に沈んだ。第5戦には異例のブルペン待機をしながら、出番がないまま逆転負け。2勝3敗と後がない状況で立った名誉挽回のマウンドで、最高の仕事を果たした。

 またも球史を塗り替えた。この日も2回1死でノイジーに右越え先制弾を浴びる苦しい展開となったが、なお2死満塁で近本をフォークで空振り三振。回を追うごとにグングン調子を上げた。7回で109球を数えたが、中嶋監督は「球数はいってましたけど、この試合全部、由伸に懸けました」と迷わず続投。今季最多138球で9回を投げ切り、14奪三振は日本シリーズ史上最多記録となった。

 「三振は取れているのは気付いていたけど、気にしないように投げていました。7回ぐらいにベンチ裏で球数を数えている時に(監督から)“制限ないよ”と言われた。ちょうど通りかかって、冗談半分ですけど」

 日本シリーズは5度目の登板で念願の初勝利。そして、今オフにはポスティングシステムを利用してのメジャー挑戦が濃厚で、これが最後の日本シリーズ、日本での最後のマウンドとなる可能性もある。オリックスのエースとしての集大成のような熱投だった。

 「明日につなげられたので、明日は何とかみんなで勝っていい締めくくりにしたい」
 歴史的な激闘が続く「関西シリーズ」。山本が記した、まばゆい一ページが、2年連続日本一のドラマのハイライトとなる予感だ。(山添 晴治)

 ≪14Kは工藤、ダル超えシリーズ新記録≫山本(オ)が14三振を奪い、1失点完投でシリーズ初勝利。1試合14奪三振は、75年第4戦外木場義郎(広)、99年第1戦工藤公康(ダイエー)、07年第1戦ダルビッシュ有(日)の13個を超えるシリーズ新記録となった。2桁奪三振は山本自身が21年第6戦にマークして以来26度目(22人目)で、個人で2度は17年今永(D)に次いで4人目の最多タイ記録。シリーズで球団投手の完投は、阪急時代の84年広島第4戦で山田久志が完投敗戦して以来だが、完投勝利は78年ヤクルト第6戦で白石静生が記録して以来45年ぶり。

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