阪神ドラ1下村 160キロ夢じゃない!陸上コーチ指摘「能力全然使い切れていない」球速伸びしろ太鼓判

2024年01月16日 05:15

野球

阪神ドラ1下村 160キロ夢じゃない!陸上コーチ指摘「能力全然使い切れていない」球速伸びしろ太鼓判
筑波大・谷川准教授の指導を受け、両手でゴムチューブを引っ張りながら走る阪神・下村(撮影・平嶋 理子) Photo By スポニチ
 160キロも夢じゃない――。阪神のドラフト1位・下村海翔投手(21=青学大)が15日、兵庫県西宮市の鳴尾浜球場で行われている新人合同自主トレで、谷川聡・筑波大准教授(51)のスプリント指導を受けた。足の速さや、それを生み出すジャンプ力が、投手としての出力(球速)の原動力にもなるというのは近年の定説。非凡なバネを披露した最速155キロ右腕にとって、さらなる伸びしろが見えた一日となった。
 00年シドニー、04年アテネ五輪に出場した110メートルハードルの第一人者で、サッカー日本代表の三笘薫、久保建英らにも指導経験のある谷川准教授。日本最高峰レベルのスプリント指導を受けた下村は終了後、充実感に満ちた表情で話した。

 「めちゃくちゃ楽しかった。自分は大学でずっと独学で走り方を学んでいたので、専門で、本当にトップの方に教えてもらえた」

 約1時間45分のレッスン。メニューの一環として行われた垂直跳びでは、新人8選手の中で最も高い跳躍を見せた。ただ、谷川氏からすれば、物足りなく映った。「自分の持っているバネを全然、使い切れていない、と言われた」と下村。投手ながら50メートル6秒0の俊足を誇り、身体能力には自信を持っている。この日を含め、連日の合同自主トレのランニングメニューでも、その走力は目立っている。それだけに、この言葉には驚いたが、まだ伸びしろが多い喜びの方が大きかった。

 「まだまだ伸びるんじゃないかという自分への期待感というか。それを知ることができてうれしかった」

 跳躍力や、短距離ダッシュなどの瞬発力が投球時の出力、すなわち球速と密接な関係にあることは、定説となりつつある。下村自身にも、足が速くなること、ジャンプ力が高まることで球速が上がった成功体験がある。

 青学大1年時の12月。右肘の痛みを訴え、クリーニング手術と軟骨再生手術を受けた。復帰までの1年余りの間、陸上選手の練習法などを独学で取り入れていた。「自分がそこまで体が大きくない中で、走る、跳ぶというところで他の大きい選手に負けないようにすれば、やっていけると思っていた」。1メートル74センチと、投手としては小柄な体格でプロの世界へ飛び込むため。身体能力を高める練習を重視し、最速155キロをマークするまでに成長した。

 下半身の使い方や力強さを追い求めることで、投球面でも潜在能力をさらに引き出すことができる。「自分の持っている力を最大限出すというところは、走るのも投げるのも同じ。まだ投球でも、使い切れていない力があると思う」。抜群の制球力と切れ味鋭いカットボールが売りの即戦力右腕が、160キロの剛球を手にする日も、そう遠くないかもしれない。(松本 航亮)

 《1メートル73の平良が160キロ》プロ野球で23年に160キロ以上を計測した日本人投手は4人おり、佐々木朗(ロ=1メートル92)、甲斐野(ソ=1メートル88)、山崎颯(オ=1メートル90)、山下(オ=1メートル90)と長身が並ぶ一方、昨季の最速が159キロで1メートル73の平良(西)も20年に160キロをマークしている。過去には公称1メートル70の阪急・山口高志が剛速球を武器に新人の75年に12勝を挙げ、日本シリーズではMVPに輝いている。

 ◇谷川 聡(たにがわ・さとる)1972年(昭47)7月5日生まれ、東京都出身の51歳。都八王子東から中大に進み本格的に陸上に取り組む。110メートル障害の第一人者で日本選手権優勝5回。筑波大大学院ではトレーニング理論を学んだ。五輪に2度出場し、04年アテネ大会では当時の日本新記録となる13秒39を樹立。現在は筑波大人間総合科学研究科准教授、筑波大陸上競技部監督、短距離・障害コーチ。

 《考えるな、感じろ》谷川准教授は、指導を生かすポイントとして「“何を意識すればいいですか?”とよく聞かれるけど、自分が自分に教えて感じなきゃいけない」と、感受性が重要だと強調した。名作アクション映画にたとえ、「“燃えよドラゴン″でドントシンク、フィール(考えるな、感じろ)と言うように、何をやればいいじゃなく、それを感じられることが大事」と話した。

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