【センバツ】甲子園は「巻き戻しなし」「二兎を追う」金丸塁審が会心の「オフ・ザ・バッグ!」

2024年03月21日 12:32

野球

【センバツ】甲子園は「巻き戻しなし」「二兎を追う」金丸塁審が会心の「オフ・ザ・バッグ!」
<センバツ第4日目 東海大福岡・宇治山田商>金丸一塁塁審(撮影・大城 有生希) Photo By スポニチ
 【第96回選抜高校野球大会第4日第1試合1回戦   宇治山田商5―4東海大福岡 ( 2024年3月21日    甲子園 )】 【光る君の光ジャッジ】スポニチ紙面では今大会から取材班が選抜での好プレーを紹介する「光る君の光(こう)プレー」が掲載されている。ネット版のスポニチアネックスでは選抜甲子園を担当する審判員のファインジャッジを紹介する「光る君の光(こう)ジャッジ」を始動。元NPB審判員でアマチュア野球担当記者の柳内遼平記者(33)が紹介する。
 基本的に野球は4人の審判員で担当する。「一番楽しいのは球審ですか?」と質問を受けたことがあるが、どこを担当しても試合中に楽しむ余裕はない。「どこが一番難しいですか」と聞かれれば、「一塁です」と即答する。ほとんどのNPB審判員も同じ考えを持っているはずだ。

 球審は1センチ単位のような厳密なストライクゾーンを適用できなくても、一貫したゾーンでジャッジすれば両軍の選手も納得してくれる。近い未来に導入されるであろう「ロボット審判」であれば違うだろうが、人間にセンチ単位で正確な判断はできるはずがない、と選手も承知しているのだろう。だからこそ「一貫」を求める。

 だが、一塁のフォースプレイの判定は違う。こちらは正確性を求められる。NPBで「リクエスト」が導入される以前は、不利益を受けたチームから強烈なヤジが飛び、抗議のために監督がベンチを飛び出してきた。「1試合」で判断される球審と「1プレー」で判断される一塁塁審には異なるプレッシャーがある。

 前置きが長くなったが、その一塁のプレーで「光るジャッジ」があった。大会第4日第1試合の宇治山田商―東海大福岡戦。3回の東海大福岡の攻撃、1死一塁から遊ゴロで6―4―3と渡ったプレー。一塁のタイミングは際どかったが、さらに一塁への送球も本塁側に逸れた。この場合、送球の到達と打者走者の一塁到達の「どちらが早いか」と、「一塁手の足がベースに触れていたか」を同時に確認しなければならない。

 金丸一塁塁審は、一塁への送球が逸れていることを確認すると、フォースプレーを見る定位置から二塁側へステップしてポジションを修正。一塁手の足離れを確認したことで「セーフ、オフ・ザ・バッグ!(足が離れた)」と宣告。瞬間的に二兎を追う場面で会心のジャッジだった。

 ご存じの通り、甲子園大会に「リクエスト」はない。巻き戻しできない一瞬の中での動き、下した決断が光っていた。(アマチュア野球担当・柳内 遼平)

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