「ちゃーちゃん」米朝さん、「兄ちゃん」枝雀さん、2人の恩人から影響受け情に生きた人生

2024年06月13日 04:45

芸能

「ちゃーちゃん」米朝さん、「兄ちゃん」枝雀さん、2人の恩人から影響受け情に生きた人生
87年、桂米朝さん(右)、桂枝雀さん(左)と二代目「桂ざこば」襲名を発表 Photo By スポニチ
 【評伝】ざこばさんは壮絶な幼少期を過ごした。父親の家庭内暴力が原因で両親は離婚。7歳の時、父は自殺した。母を助けるべく10歳から大阪球場でアイスクリームの売り子を行い、オフシーズンは新聞配達で家計を支えた。中学時代もアルバイトに明け暮れ、学校にはほとんど行かなかった。
 そんなざこばさんの父親代わりとなったのが、師匠の桂米朝さん。ものまね芸人を見に行った劇場で芸に一目ぼれし入門。内弟子生活を始めると実子たちと同じく、師匠を「ちゃーちゃん(父ちゃん)」と呼び慕った。芸も米朝さんをまねすることで磨いた。もう一人の恩人が兄弟子の桂枝雀さん(99年死去)。「兄ちゃん」と呼んでさまざまな相談に乗ってもらい、芸でも大きな影響を受けた。ざこばさんは「自分はちゃーちゃんと兄ちゃんにこしらえてもらった」と語るほど、生涯感謝を忘れなかった。

 喜怒哀楽の感情をさらけ出す芸風が持ち味。離婚した夫婦が子供の橋渡しでやり直す人情噺(ばなし)「子はかすがい」の初演では、自分の境遇が重なり高座で涙を流した。飾らない人柄はお茶の間でも愛され、90年代の「サントリーモルツ」のCMでは野球中継を見るざこばさんが「川藤出さんかい!」と叫び、代打・川藤が告げられると「ほんまに出してどないすんねん」と漏らすフレーズが人気だった。

 プライベートでは父を反面教師に子煩悩で、娘と孫を溺愛した。公私ともに情に生きた人生だった。

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