梅沢富美男 売れずに腐り役者諦めかけた50数年前「バカ野郎!」と喝入れてくれた漫画界巨匠に感謝
2024年07月27日 17:39
芸能
ほぼ決意が固まっていた中で1人だけあいさつをしておこうと思ったのが「仮面ライダー」「サイボーグ009」などを生んだ漫画家の石ノ森章太郎さんだった。
「奥様のお母さんが、うちの母親と友達だったんですよ。先生も奥様もお芝居見に来てくれてて、かわいがってくれてたんで、先生だけにはちょっと言っておこうかなと思ってね」と、石ノ森さんの家を訪れてあいさつしたところ「なんでやめるんだ?」と聞かれた。細かく説明するのが面倒に感じた梅沢は「壁ですかね」と簡単に伝えた。すると石ノ森さんは「何言ってんだ、このバカ野郎」と叱った。「おめえみたいな無名の役者に壁があるか。壁ってのは売れた人が言うんだよ。おれが何書いても仮面ライダーだったら壁だよ。役者さんはいろんな役をやって、何やっても同じだったら壁だよ。壁はお客さんが決めるんだ。おまえみたいな無名の役者に壁はない」と、若くて甘かった梅沢を完膚なきまでに打ちのめした。ただ最後に「必ず売れるから頑張れ」と激励をすることも忘れなかった。
日本マンガの歴史を作った巨匠の言葉で発奮し、大衆演劇の頂点を極めた梅沢。「先生の言葉がなかったら梅沢富美男はなかったかもしれないね」と、懐かしそうに50年前を思い返していた。